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ジャン・シュエチンの予言、教授は何を根拠に日本の未来を語った?

ジャン・シュエチンの予言を調べるイメージ。丸いメガネのキャラクターが、帆船や巻物、星が浮かぶ水晶玉をのぞいている 調べてみた
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NMS STUDIOのYouTube動画で、ジャン・シュエチン教授の予言を聞きました。聞き手はジャーナリストの山田敏弘さんとナオキマンさんです。米国はイランとの戦争に負ける、日本は東アジアでいちばん未来が明るい、元寇で勝てたのは神風のおかげではない、と言い切りが続いて、これが面白かったんです。

気になったのは、「何を根拠にそう言っているのか」でした。歴史の話もあちこちに出てくるので、言い切りが出るたびに、その歴史や数字を調べ直して、足りないところを補ってみました。ぼくの予想も、当たり外れの決め方をつけて置いています。

教授の話を1分半ほどにまとめた動画も作りました。目次のすぐ下にあるので、先にそちらを見てもOKです。

ジャン・シュエチンの予言を調べるイメージ。吹き出しを持った丸いキャラクターと、木と家のある小さな島、巻物
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ジャン・シュエチンの予言とは?

1分半でざっくり見る

教授の話の流れを、アニメ調にまとめた1分半ほどの動画です。元の動画ではなく、このブログで作ったものです。

「教授」と呼ばれる人

ジャン・シュエチン(中国語の表記は江学勤)さんは、中国生まれでカナダ国籍の教育者です。2023年に「Predictive History」(予測の歴史)というYouTubeチャンネルを始めました。もとは、授業を録画して生徒が復習できるようにするのが目的だったそうです。

「教授」は通称で、大学で教えているわけではありません。ファンがそう呼び始めたので使っている、と本人は説明しているそうです(英語版Wikipedia。※英語サイト・自動翻訳推奨)。ここでも通称のまま「教授」と呼びます。

注目されたのは、2024年の講義でした。トランプ氏の再選、米国とイランの衝突の拡大、最終的な米国の敗北、の3つを予測したんです。最初の2つは当たったとされていて、3つ目が、動画で話題の、米国は負けるという予測にあたります。まだ決着はついていません。中国のノストラダムスと呼ぶ報道があった、と先ほどのWikipediaは書いています。一方で、同じような予測をしていた分析者は他にもいて、教授は早く印象的にまとめた人だった、という指摘(インドの報道機関インディア・トゥデイ)もあります。

教授の予測のつくり方

ジャン・シュエチンの予言には、結論の前に似た言い方が何度も出てきます。日本には選ぶ余地がない、ほかに選択肢はない、やらなければ誰かがやる、といった言い方です。その立場ならこの手しかない、と先に逃げ道をふさいでから結論を言うんです。

話の進み方は、だいたい次の3段です。

  1. 誰が何を欲しがっているかを決める
  2. 歴史の似た例を持ってくる
  3. その立場ならこの手しかない、と言い切る
教授の予測は3段で進む 教授の話は、誰が何を欲しがるかを決め、歴史の似た例を持ってきて、その立場ならこの手しかない、と言い切る3段で進む。 ほしい! 誰が何を欲しがる? 昔もこうだった 歴史の似た例 その立場なら… この手しかない!

3段目の「その立場なら」の部分が、ゲーム理論の考え方に近いところです。ゲーム理論は、相手がどう動くかを考えながら自分の最善の手を決める数学の分野で、みんなが合理的に動くという前提で計算します。教授は自分のやり方を、歴史を構造から読み解く分析と、ゲーム理論、アシモフのSF小説に出てくる「心理歴史学」から着想を得た考え方の組み合わせ、と説明しています。

ゲーム理論を一から知りたい方には、新書の入門書があります。

ただ、批判もあります。歴史の例を都合よく選んでいる、ゲーム理論の計算の過程を見せていない、確かめようのない前提が多い、という声を、先ほどのWikipediaが紹介しています。

米国とイラン、教授の見立て

動画のきっかけは、2026年2月28日に米国とイスラエルがイランへの攻撃を始めたことです(FDDの分析。※英語サイト・自動翻訳推奨)。ホルムズ海峡(ペルシャ湾の出口にある狭い海で、世界の石油や天然ガスの約5分の1が通ります)の通行が止まったり、通行料を取られたりする報道も出ました。4月に停戦が決まり、6月中旬には米国とイランが覚書を結びましたが、7月に崩れ、9月から攻撃の応酬が再開しています。10月には米国が中間選挙までの攻撃の再開を控えると発表し、交渉が続いている状態です(英語版Wikipedia。※英語サイト・自動翻訳推奨)。

教授は、この戦争で米国は負けると話します。理由はいくつもあって、いま米国の戦略をじゃましている大きな制約が3つある、というのが入口です。1つ目は国民の支持。ベトナム戦争のとき以来、いちばん人気のない戦争で、トランプ氏もなぜイランを攻撃するのかを説明できていない、という見方です。戦争の目的が、はじめのウラン(核兵器づくり)から、いまは海峡を開けることに変わっている、という指摘もありました。

そこから話は、イランの戦い方に進みます。教授によると、イランの革命防衛隊(IRGC)は31の地方司令部に分かれていて、指導者を倒されても各地が動き続けるようになっています。イラクが米国にやられるのを見て、最後まで戦うゲリラ戦しか選べないと考え、20年ほどドローンと弾道ミサイルに力を入れてきた、という筋書きです。

この「31の地方司令部」は、調べると実在する考え方でした。「モザイク防衛」と呼ばれ、2005年に革命防衛隊の戦略センターが作ったものです。きっかけは、イラク戦争でイラク軍が、指導部を狙われると基本の動きすら取れなくなったのを見たことだそうです(英語版Wikipedia。※英語サイト・自動翻訳推奨)。モザイクは、小さなタイルを組み合わせて1枚の絵にする技法です。1枚のタイル、つまり指導者がなくなっても、絵は崩れません。

もう1つ、教授がこだわるのが「サンクコスト」です。もう払って戻ってこない費用のことで、それがもったいなくて、やめどきを逃してしまう心理を指します。ここまで来たのだからと深みにはまり、空軍だけでは機体も操縦士も消耗して、最後は地上部隊を送るしかなくなる、というのが教授の読みです。

ただ、米国は負けるというこの予測には、何をもって負けなのか、いつまでの話なのかが決まっていません。決まっていないと、どんな結末でも当たったと言えてしまうので、当たり外れの決め方をぼくが先に置いておきます。

ぼくの予想①

ホルムズ海峡は、2027年末になっても戦争の前の8割まで戻らない

  • 当たり:2027年12月の1日あたりの通航隻数(月平均)が、戦争の前の2025年平均の8割に届いていない
  • 外れ:2027年12月の月平均が、2025年平均の8割以上に戻っている
  • 見る場所:IMFの海運データ「PortWatch」のホルムズ海峡の日ごとの通航隻数。2025年は1日に約90隻とされますが、過去の値は後から直されることがあるので、判定のときに見える2025年平均を基準にします

海峡では3月に通行料の報道があり、6月の覚書は7月に崩れ、10月も海峡の近くで船への攻撃が報じられています。一方で、交渉は続いていて、どう転ぶかは本当に分からないので、戻る線を8割に置いて、戻りきらないほうに賭けます。

ホルムズ海峡と日本の石油

教授は、米国の「国防戦略」という文書を取り上げます。ペンタゴンのサイトで読める33ページほどの文書で、今後10年の戦略が書いてある、という紹介でした。そこに3本の柱があると言います。

  1. 西半球(南北アメリカ)は米国のもの。貿易したければ料金を払え
  2. 海上の要所(マラッカ、ホルムズ、ジブラルタル、北極圏)を押さえれば、世界の貿易を握れる
  3. 世界にできるだけ紛争を作る(ウクライナ、イスラエルとイラン、中国と日本)

この文書は2026年1月23日に公表されたと報じられていて、西半球を最優先にする方針と、モンロー主義のトランプ版にあたる「ドンロー・ドクトリン」という呼び名は、報道でも確認できます。一方で、2本目と3本目は、報道の紹介記事にはそのままの形では出てきません。教授の読み方が入っているのかもしれないので、原文を読んだ方がいたら教えてください。

要所を押さえるという発想は、新しいものではありません。中国の胡錦濤氏は2003年に、輸入する原油の約8割が通るマラッカ海峡を押さえられる不安を「マラッカ・ジレンマ」と呼びました(英語版Wikipedia。※英語サイト・自動翻訳推奨)。海の要所や地理から国の動きを読む学問は、地政学と呼ばれます。

地政学の入門書が、中公新書から出ています。

教授の筋書きは、ここから日本につながります。米国には40兆ドルの借金があって、これを解決するには、世界を資源で米国に頼らせるのがいい。日本は米国から石油をドルで買い、そのお金も米国が貸す。石油の代金がドルで動く「ペトロダラー」は、これからも続く、という流れです。ペトロダラーは、産油国が石油の代金をドルで受け取る仕組みを指す通称です。

日本が石油を中東に頼る割合は、動画の中で、90%くらいという話が出ていました。経済産業省の石油統計速報では、戦争の前の2025年8月が95.8%でした。それが2026年は下がり、7月が58.9%、8月が60.7%です。代わりに米国産が、7月は37.0%、8月は33.7%を占めています(2025年8月は3.1%)。中東の産地の多くは、ホルムズ海峡を通ります。

石油の備蓄は、資源エネルギー庁の発表で、戦争の前の2025年12月末が254日分でした。2026年8月末は204日分に減っています。

海峡のゲートが閉まると日本の石油はどうなる ホルムズ海峡のゲートが閉まると中東の石油が日本に届きにくくなり、教授の筋書きでは、日本は米国から買うしかなくなる。 中東 ホルムズ海峡 日本 教授の筋書き:米国から買うしかない 米国 ドル 石油タンク
ぼくの予想②

日本の原油の米国産は、2027年の1年間で3割台にとどまる

  • 当たり:2027年1〜12月の合計で、日本の原油輸入に占める米国産が30%以上40%未満
  • 外れ:30%を下回る、または40%以上
  • 見る場所:経産省の石油統計速報の国別の数量(月ごとに出るので、1年分を足して計算します)。財務省の貿易統計の品別国別表でも見られます

教授の筋書きは、日本が米国から買うしかなくなる、です。すでに3割台まで上がっているので、海峡が戻りきらなければ高いままだと思います。ただ、中東以外の産地も使うので半分までは行かず、中東が戻れば下がります。ちょうど真ん中あたりに置いてみました。

台湾と北朝鮮のシナリオ

台湾について、教授は、半導体が大事だからという見方は違うと言います。本当の理由は、貿易の通り道だから。台湾が中国のものになれば、日本は東南アジアへの道を断たれて、米国に頼るしかなくなる、という理屈です。米国は台湾をめぐって皆に争わせ、日本と中国の両方にエネルギーを売れる中立の仲介者になれる、とも話します。

中国のやり方は間接的だというのが教授の見方で、北朝鮮を支えて韓国を脅させれば、それで足りるそうです。その理由を、教授は、米国はチェス、中国は囲碁、と例えます。チェスは正面からぶつかって白黒がはっきりするゲーム、囲碁は遠回りに少しずつ有利を重ねる長期戦のゲームです。

キッシンジャー氏も、2011年の著書『On China』で、囲碁とチェスの違いを使って、中国と西洋の戦略の違いを説明しています。ただ、囲碁と中国の戦略を結びつけるのは、ひとつの見方です。囲碁のルールを知らなくても、石を置いて陣地を広げていくゲームだと分かるだけで、この例えは少し見えてきます。入門書も置いておきます。

北朝鮮については、ロシアも中国も北朝鮮と相互防衛の条約を結んでいる、と教授は言います。この点は事実に合います。2024年6月のプーチン氏と金正恩氏の条約は「包括的戦略的パートナーシップ」で、第4条に、武力で攻められたときの軍事などの援助が書かれています。中国と北朝鮮は1961年から、同じような条約を結んでいて、中国外務省は2021年にこの条約は有効だと述べています。

教授は、北朝鮮が日本と韓国に攻撃的になる時期を、1〜2年、いやもっと早く、と話します。ミサイルを日本の方向に撃つだけでもいい、とも。動画の収録は2026年7月ごろとみられるので、2028年7月ごろまでの話です。ただ、ミサイルを撃つだけなら北朝鮮はもともと撃っているので、その基準だと、ほぼ何が起きても当たりになってしまいます。ぼくの予想は、もっと厳しい基準で置きます。

ぼくの予想③

北朝鮮は、2028年7月までに、日本の上を越えるミサイルを撃つ

  • 当たり:2026年8月から2028年7月までに、防衛省が日本の上空を通過したと発表した発射が1回以上ある(衛星と称する発射も含みます)
  • 外れ:その発表が1回もない
  • 見る場所:防衛省の北朝鮮のミサイル等関連情報の発表

防衛省が日本の上空を通過したと発表したのは、2022年10月と、衛星と称する発射が2回あった2023年(8月と11月)です。そのあと約3年は、防衛省の発射の一覧に該当する発射がなく、止まっています。集中した時期と止まっている時期があるので、起きるかどうかは五分五分に近いと見て、1回以上に置きました。

教授の3つの物差し

ここまで厳しい話が続いたのに、日本の話になると教授の言い方はがらりと変わります。日本の弱みは3つ。高齢化、資源が足りないこと、周りが敵ばかりなこと。世界の主要国のなかで日本の未来はいちばん悪く見える、と、まず言うんです。そのあとで、東アジアの国の中では日本がいちばん未来が良く、主導国になる、と話をひっくり返します。

その根拠が、教授が使う3つの物差しです。

  • エネルギー:人々がどれだけ働く気があるか
  • 開放性:どれだけ変化を受け入れ、失敗から学べるか
  • 結束:国のために戦うのか、米国へ逃げ出すのか
3つの物差しのメーターは動くが、数字は出ていない 教授は3つの物差しで日本が1位と言うが、測り方も点数も動画では示されていない。 エネルギー働く気 ? 開放性変化と学び ? 結束戦う?逃げる? ? 日本 教授の結論:日本が1位 点数は動画に出てきません

この3つで比べると、日本が楽に1位になる、というのが教授の結論でした。ここで気をつけたいのが、教授がゲーム理論と呼んでいても、この物差しは学問のゲーム理論の用語ではない、という点です。ゲーム理論は、参加者・選べる手・得られる利益を決めて、釣り合いの状態を計算する分野です。教授の物差しは、国民性や社会の性格で国を比べる文化論に近く、どう測るのかも、日本が何点なのかも、動画には出てきません。

ソフトパワーと訪日客

教授は、ソフトパワーでも日本は東アジアで最強だと言います。ソフトパワーは、軍事や経済の力ではなく、文化で人の心をつかむ力のこと。若者はみんなアニメを見ているし、日本が受け入れる外国人観光客は中国の30倍だ、という話でした。教授自身、ファイナルファンタジー7の大ファンだそうです。

「30倍」は、数字を調べると合いません。日本を訪れた外国人は2025年に過去最高の約4,268万人(推計値。日本政府観光局の発表を伝えたTravel Watch)。中国は、外国人の出入国が延べ約8,200万回(AFP通信)で、入国だけに直すと約4,100万回(公表された2つの数字からの見積もり)です。ほぼ同じ規模で、30倍にはなりません。ただ、日本のアニメやゲームが人気だという話は、数字の誤りとは別に残ります。

元寇と神風、どう見る?

元寇の海に浮かぶ船と大きな波を、丸みのあるアニメ調で描いたイメージ

動画のなかでも、歴史が好きな方に向くのが元寇の話です。13世紀、中国を征服したモンゴルは、大艦隊を日本に送りました。教授は、当時の人なら日本が負けるほうに賭けただろうと言います。それでもモンゴルは2回失敗しました。神風はおそらく吹いたけれど、大きな要因ではない、というのが教授の見方です。

教授の説明はこうです。モンゴルの勝ち方は、恐怖で降参させることと、相手を分断して支配することの2つ。ところが日本には、どちらも効かなかった。当時の日本は戦う王国の集まりのようだったのに、侵略者を前にして団結し、死ぬまで戦うと分かったモンゴルは費用が高すぎるとして引き上げた。神風が語り継がれるのは、日本人は神の民だという話を強めるための神話だから、というのが教授の説明です。

歴史の本では、どう書かれているでしょうか。英語版Wikipediaの記事(Mongol invasions of Japan。※英語サイト・自動翻訳推奨)を読むと、教授に有利な材料と、不利な材料が両方出てきます。

  • 台風:1281年8月15日、港に停泊していた艦隊を台風が襲い、壊滅的な被害が出ました。1274年の1回目も嵐で艦隊が散っていて、この嵐は11月下旬と、台風の季節(5〜10月)をだいぶ過ぎていました。この時期はずれの嵐が、日本は負けない、攻め込まれないという信念を長く強めた、と書かれています
  • 日本側の守り:1回目のあと、幕府は九州の武士を組織し、博多湾に石塁を築きました。高さは約2メートルです。2回目は、この石塁に阻まれて上陸できなかった船があります
  • モンゴル側の混乱:1281年は、将軍が命令に背いて単独で攻めるなど、まとまりを欠いていました
  • 兵力の見直し:トーマス・コンラン氏は、1281年の兵力が通説の14万人ではなく、約1.4万人だった可能性を論じています。モリス・ロサビ氏は、約7万人だと提案しています

つまり、神風は大きな要因ではないと言い切れるかは、歴史家のあいだでも分かれていそうです。台風で壊滅した、という書き方が多く、守りが効いたという見方もある、という具合です。教授の説明で史料と合わないのは、戦う王国の集まりが団結した、という部分です。英語版Wikipediaは、当時の日本は鎌倉幕府の北条氏が治めていたと書いています。

元寇の勝因はシーソーのようにゆれ続ける 元寇の勝因は、台風の説と、日本側の守りの説でゆれていて、教授の言う団結は資料の裏づけが見当たらない。 どちらが主役か、意見は分かれる 台風で壊滅(1281年) 石塁と武士の守り 団結(教授の説明) 資料の裏づけは見当たらず

神風で撃退できたとされる話は史実なのか、を問う新書もあります。

明治維新と戦後は?

教授は元寇のほかに、明治維新と戦後の2つを挙げて、日本はエリートが変化を受け入れる珍しい社会だと言います。ペリーが開国を迫ったとき、中国は文化を守って変わらず屈辱を受けたけれど、日本は産業化を選び、エリートを覆した。戦後に財閥をなくしたのも、エリートを覆す難しいことだった、という話です。教授はこの強さを「レジリエンス」と呼びます。

ただ、財閥の解体は、1945年からGHQの方針のもとで進められました。最初の案は日本側から出て、GHQが承認し、あとで厳しくした経緯があります。1948年に審査委員会がなくなるなど、のちに緩んだ面もあります。教授は、プラザ合意と円キャリートレードを、日本が米国に放っておいてもらうための賄賂だとも話しますが、これはかなり踏み込んだ解釈です。プラザ合意(1985年)は、日本が米国に折れた対米妥協策、とする見方が一般的です。日本側も合意に協力的だったという、当時の当局者の回想もあります。

動画の後半の話

後半は、世の中の見方そのものに話が広がります。教授は、力のもとは人々の関心だと言います。関心が富と現実を作るので、力とは、人々の関心を操る力のこと。銀行家は、お金という「影」で人々の関心を集めてきたけれど、これからは技術のエリートがAIで同じことをして、銀行家から力を奪う、という流れでした。プラトンの「洞窟の比喩」を使った説明です。

このあたりから、教授の予測として、こんな話も出ました。

  • 日本は10年以内に、国の制度として大規模な安楽死を取り入れる。介護ロボットでは行き詰まり、レアアースとリチウムも戦時には確保できなくなるから、というのが教授の理由です
  • 世界の人口は、20〜30年で80億人から10億人に減るかもしれない
  • 歴史上の宗教運動や秘密結社を一本の線でつなぎ、世界を裏で動かす勢力が今もいる、という筋書き

3つ目のような筋書きは、歴史上の出来事が並ぶぶん信じやすいのですが、動画の中で、一本の線につなぐ裏づけは示されていません。教授はこの種の話を広めたとして、米国のThe Free Pressと、香港の英字紙South China Morning Postから批判されている、と英語版Wikipediaは書いています。世界を裏で動かす秘密の集団がいるという型の話は、昔から特定の人々への差別や迫害に使われてきた陰謀論の型で、事実としても、ありうる説としても、ここでは扱いません。ぼくの予想の材料にも使いません。

教授がすすめる本

動画の終わりが近づくと、教授がすすめることは、意外と素朴です。受け身でメディアを消費せず、自分の関心を取り戻す。本を読み、自然を楽しみ、友人と過ごす。とくにホメロス、プラトン、ダンテといった古典を読んで、親切と開放性と愛を大事に生きれば、画面の数字を追いかけ続ける「マトリックス」から出られる、という呼びかけです。ここは当たり外れの話ではなく、やってみればいい話ですね。

洞窟の比喩が出てくるのは、プラトンの『国家』です。藤澤令夫さんの訳で、岩波文庫の上下2冊になっています。

ホメロスの『オデュッセイア』は、トロイア戦争のあと、英雄オデュッセウスが故郷へ帰る旅の物語です。松平千秋さんの訳が、岩波文庫の上下2冊で出ています。

ダンテの『神曲』は、地獄篇・煉獄篇・天国篇の3部作です。寿岳文章さんの訳が、集英社文庫から出ています。まずは地獄篇です。

答え合わせのしかた

教授の予測は、言い切りの強さのわりに、当たり外れを決める基準と期限がはっきりしないものが多いんです。下の表を見ると、決められるものと決められないものが、はっきり分かれます。

教授の予測 期限 当たり外れを決められる?
米国はイランとの戦争に負けるなし「負ける」の意味が決まっていません。ぼくの予想①で言い換えました
北朝鮮が日本と韓国に攻撃的になる1〜2年、いやもっと早く「攻撃的」の意味がゆるく、ミサイル1発でも当たりになります。ぼくの予想③で厳しくしました
日本が東アジアの主導国になる長期「主導国」の意味も期限もなく、決められません
日本が国の制度として大規模な安楽死を取り入れる10年以内期限も基準もはっきりしています
世界の人口が80億人から10億人に20〜30年数字も期限もはっきりしています
答え合わせのカレンダーに旗が立つ 動画の収録(2026年7月ごろ)から、ぼくの予想の判定日(2027年末と2028年7月)までの流れ。教授が言った「1〜2年」の幅も帯で示す。 ①海峡 ②米国産 ③北朝鮮 2026年7月ごろ動画の収録 2027年末 2028年7月 教授の予測:1〜2年、いやもっと早く 答え合わせは、新しい記事で

ぼくの予想は、①と②が2027年末、③が2028年7月です。結果は、時期が来たら新しい記事で書きます。予想の記事は、前にも書いたことがあります。メモリの値段がいつ戻るかの予想です。

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まとめ

ジャン・シュエチン教授の予言を調べて分かったのは、裏づけがありそうな所と、教授の解釈がたっぷり入っている所が、はっきり分かれることでした。モザイク防衛やマラッカ・ジレンマのように、調べるほど話に厚みが出る所もあれば、神風や「30倍」のように、調べると別の見方が出てくる所もあります。

元の動画は1時間ほどあります。元寇の話は30分すぎから始まるので、歴史が好きな方はそこだけ見ても楽しめると思います。

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