Ryzen 7 搭載ノートで Minecraft を起動したら「FPS が伸びない」「チャンク生成で一瞬止まる」──そんな経験はありませんか? ぼくも同じ壁にぶつかり、タスクマネージャとリソースモニターの数値を徹底的に読み解くことで原因と対策を洗い出しました。本記事では、その過程で得られたリアルな計測データと具体的なチューニング手順を、誰でも再現できる形でまとめました。CPU・GPU・メモリの各項目をどう見て、何を改善すれば FPS が倍近く伸びるのか。ノートPC ユーザー必携の実践ガイドです。


マイクラが“CPUゲー”になる理由を徹底解剖
ぼくの環境(Ryzen 7 7735HS/8 コア16 スレッド)でマイクラを起動すると、タスクマネージャはクロック 3.9 GHz 付近を維持しながら使用率 30 %台を示します。一見「余裕がある」ように感じますが、リソースモニターを開くと特定スレッド(たとえば CPU 4 と CPU 7)が 100 %に張り付く瞬間が頻発します。
◇ シングルスレッド偏重のロジック
- チャンク生成・エンティティ AI・レッドストーンは互いに依存し合い、スレッド間分割が難しい
- Java 版は JVM のガベージコレクションが停止時間を生みやすい
- Bedrock 版でも物理演算は 1〜2 スレッドに集中
◇ 数値で見るボトルネック
設定 | FPS | CPU 使用率 | GPU 使用率 | メモリ消費 |
---|---|---|---|---|
描画距離 32 チャンク | 45 | 45 % | 27 % | 6.8 GB |
描画距離 16 チャンク | 83 | 28 % | 21 % | 5.1 GB |
CPU スレッドが詰まると GPU が仕事をもらえず、描画パイプライン全体が渋滞します。だからまず CPU の負担を減らすことが最優先になるわけです。
GPUとiGPUの役割分担―描画パイプラインを理解しよう
ノートPC は Optimus(オプティマス)や MUX スイッチで dGPU と iGPU を切り替えます。マイクラ起動時に GPU 0(NVIDIA)が 20 %、GPU 1(AMD iGPU)が 5 %と表示されていれば dGPU に描画が渡っている証拠です。もし iGPU 側だけが動いていたら設定を見直しましょう。
■ 高性能 GPU を確実に使う手順
- Windows 設定 → システム → ディスプレイ → グラフィック
- Minecraft ランチャーを「高パフォーマンス GPU」に指定
- NVIDIA コントロールパネルで「パフォーマンス最大化を優先」へ
RTX 影 MOD を入れる場合、GPU 使用率は 70 %以上に跳ね上がりますが CPU はほぼ変わりません。つまり「見た目を重くする設定」は GPU 側の余力次第で好きに足し算できるということです。
メモリ圧迫の実例と解決策―Chrome とクラウド同期が敵になる
ぼくの 16 GB 構成で、タスクマネージャが 12 GB 超を示した瞬間 FPS は 15 以上下落しました。原因は Chrome の大量タブとクラウド同期でした。
◇ 典型的メモリ消費ランキング
プロセス | 平均消費 | 対処 |
---|---|---|
Chrome 25 タブ | 3.5 GB | タブ休止 & 拡張削減 |
Steam WebHelper 7 つ | 0.6 GB | ゲーム起動後に Steam 終了 |
OneDrive 同期 | 0.4 GB | 一時停止 |
Windows Defender スキャン | 0.3 GB | スケジュール変更 |
■ Tab Suspender の導入方法
- Chrome ウェブストアで The Great Suspender Fork を追加
- 設定 → “30 分未操作で休止” を選択
- 重いページは手動で休止し、再読込を短縮
空いたメモリは OS が自動キャッシュに回すため、マイクラのチャンク読み込みが滑らかになります。
タスクマネージャの“数字”を体で覚える
タスクマネージャの「パフォーマンス」タブでは 「速度(GHz)」と「使用率(%)」 が並んでいます。混同しがちですが別物です。
- 速度(クロック):コアが今どれくらいの速さで命令を処理しているか
- 使用率:そのコアが 1 秒間にどれだけ“働いていたか”の割合
例として 3.9 GHz・使用率 31 %は「16 スレッドあるうち約 5 スレッドが最大クロックで動き、残りは待機している」状態を示します。ここを見誤ると余計な OC(オーバークロック)や電圧変更で発熱を招きかねません。
リソースモニターで“隠れ犯人”を炙り出す
リソースモニターはタスクマネージャ右下の「詳細パフォーマンス → リソースモニター」から起動できます。
◇ スパイク検知の手順
- [CPU]タブ → “平均 CPU” を降順ソート
- 0.05 未満のプロセスが突然 0.50 を超える瞬間を探す
- 該当プロセスを右クリック → “プロセスを停止” で一時的に切る(自己責任)
ぼくの環境では Antimalware Service Executable が 15 秒ごとに 40 %スパイクを起こし、その都度 FPS が 10 落ちていました。Windows セキュリティ → “フルスキャンのスケジュール” で時間帯を寝ている間に移すだけで問題解決しました。
バックグラウンド整理術―Steam・Discord を手なずける
◇ Steam
- 設定 → インターフェイス → “最小化でタスクトレイに入れる” を オフ
- ゲーム起動後[×]で完全終了すると WebHelper が消えメモリ回復
◇ Discord
- ユーザー設定 → 詳細設定 → “ハードウェアアクセラレーション” を オフ
- オーバーレイ機能を切れば GPU 使用率が 5 %下がることも
◇ クラウド同期
- OneDrive アイコン → 一時停止 → “2 時間” に設定し、マイクラ終了後に再開
- Google Drive は “帯域幅制限” を 500 KB/s 程度に絞る
マイクラ側の軽量設定大全
項目 | 推奨値 | 期待効果 | 備考 |
---|---|---|---|
描画距離 | 16 チャンク以下 | CPU 負荷激減 | 遠景より FPS を優先 |
シミュレーション距離 | 8 チャンク | エンティティ AI 削減 | MOB トラップは要調整 |
VSync | オフ | 入力遅延低減 | 垂直同期は GPU 余力がない場合だけ使う |
FPS リミッター | 120 | 電力と発熱抑制 | ノートは熱ダレ防止に有効 |
Shader | Lite プリセット | 視覚美と軽さの両立 | Sildur’s / BSL Lite など |
Java 版なら OptiFine + Sodium + Lithium の組み合わせが鉄板。Fabric Loader で導入するとチャンクレンダリングの効率が劇的に上がります。
BIOSとドライバで底上げ―ハードウェア最適化の最終兵器
- GPU ドライバ:NVIDIA App から Studio 版→Game Ready 版へ切替で最大 10 FPS 向上
- BIOS:ASUS Armoury Crate で “Turbo” プロファイルを有効化すると TDP 上限が +10 W
- メモリ:シングルチャネルならデュアル化、3200 MHz→4800 MHz へ換装すると CPU 内蔵キャッシュミスが減りチャンク生成が最大 18 %短縮(ぼく調べ)
よくある疑問Q&A―CPUクロックと使用率の真実
Q1. ブーストクロックが出ているのに使用率が低いのは損?
A. いいえ。ブーストは「負荷がかかった瞬間に応える」ための即応性確保で、常時 100 %を意味しません。
Q2. GPU 使用率が 30 %しかないのに FPS が出ません。
A. CPU がボトルネックで描画命令を送れない状態。描画距離を下げるかバックグラウンドを整理しましょう。
Q3. メモリが 90 %超でもスワップに行かなければ問題ない?
A. 圧縮メモリが増えると CPU 負荷が跳ね上がり体感が悪化します。物理メモリの空きを常に 2 GB 以上確保するのが安全圏。
まとめ―計測→仮説→改善のサイクルでノートPCはまだ伸びる
数字を読めるようになると、闇雲な設定変更やパーツ追加に頼らず、最短ルートでボトルネックを除去できます。タスクマネージャで全体傾向を把握し、リソースモニターで突発スパイクを特定、バックグラウンドアプリを整理し、最後にマイクラ側と BIOS で微調整。この手順を一巡させるだけで、ぼくのノートPC は FPS が 40→80 へ、平均温度は 7 ℃ 低下しました。読者のみなさんもぜひ試して、快適なブロックライフを楽しんでください。
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