ある日のこと、ぼくのタイムラインは突如として熱狂に包まれました。香港のタミヤ公式ストアに見慣れないマシン名が掲載された、というのです。その名は「Raizzan(雷斬)」。そして、その心臓部には今まで誰も聞いたことのない「MEシャーシ」の名が刻まれていました。

それは単なる新製品のニュースではありませんでした。MSシャーシ、MAシャーシと続いてきたミニ四駆PRO、その両軸(ダブルシャフト)モーターシャーシの歴史に、新たな一ページが加わる瞬間を告げる号砲だったのです。ぼくはすぐさま提示されたスクリーンショットを食い入るように見つめ、一つ一つの情報を確かめ始めました。これは一体何なのか?MSとMAの先に、タミヤは何を用意したのか?
この記事では、香港公式の一次情報を徹底的にファクトチェックし、確定している事実をまずお伝えします。その上で、MS・MAから続く技術の系譜、そして「ライキリ(雷切)」から「ライザン(雷斬)」へと受け継がれるデザインの物語を、ぼく自身の興奮と考察を交えながら深く、熱く、語り尽くします。この記事を読み終える頃には、あなたの手元には新しいマシンの設計図と、次のレースへ向けた確かな戦略が描かれているはずです。
雷斬(Raizzan)登場の衝撃と、コミュニティの熱狂

すべては海を越えた香港から始まりました。日本国内での公式発表に先駆け、Tamiya Hong Kongの公式サイトに掲載された情報が、瞬く間に世界中のミニ四駆ファンの間に拡散されたのです。ぼくもまた、その情報に触れた一人でした。そこには、ぼくらが待ち望んでいた「次」の姿が確かにありました。


公式で確認できた揺るぎない「事実」
憶測が飛び交う中、まずは何が「確定情報」なのかを冷静に整理することが重要です。Tamiya Hong Kongの公式製品ページには、以下の事実が明記されていました。これらは、今後のすべての考察の土台となる、揺るぎないファクトです。
- 製品名: Tamiya 18663 1/32 Mini 4WD Raizzan (ME Chassis)
- シャーシ: 新開発 MEシャーシ
- 主要スペック:
- 全長: 156mm
- 全幅: 97mm
- 全高: 40mm
- ギヤ比: 3.5:1
- 構造的特徴:
- モーターを中央に搭載するダブルシャフトモーター駆動
- コンパクト・軽量・高効率な設計
- VZシャーシ由来のPパーツ(樹脂ベアリング)を採用
- 前後バンパーはネジ止めによる着脱が可能
- 発売予定日: 2025年10月31日(香港公式)
- 価格: HK$150(香港公式)
【出典】Tamiya Hong Kong 公式商品ページ
https://tamiya.hk/product/tamiya-18663-1-32-mini-4wd-raizzan-me-chassis/上記の情報はすべて、この一次情報源に基づいています。国内での正式発表時には、価格や発売日に変更がある可能性も視野に入れておくべきですが、技術的な仕様が大きく変わることは考えにくいでしょう。

名前の由来と、そこに秘められた物語(考察)
「雷斬」という名前を聞いて、多くのファンが即座に一つのマシンを思い浮かべたはずです。そう、「ライキリ(雷切)」です。では、「雷斬」は「雷切」の後継機なのでしょうか?
ここからは、事実を基にしたぼくの考察です。 まず事実として、「雷切」はタミヤ公式自ら「雷を切り裂いたと言われる伝説の日本刀の名前」に由来すると明言しています。一方で、「雷斬」という名の刀が日本の神話や史実に実在するという確かな記録は見当たりません。 このことから、「雷斬」はミニ四駆のためのオリジナルネーミングである可能性が極めて高いと推測できます。しかし、それは決して無関係な名前などではありません。デザインを両モデルともに**根津孝太氏(znug design)**が手がけているという事実が、その繋がりを雄弁に物語っています。「雷」の系譜を受け継ぎながら、既存の伝説に縛られない新たな一振り。それが「雷斬」に込められた意図ではないでしょうか。それはまるで、MS・MAという偉大な先達の歴史を受け継ぎつつ、全く新しいコンセプトで道を切り拓くMEシャーシそのものの姿を象徴しているかのようです。
走らせる前から「ピット」が見える設計思想(考察)
ぼくが雷斬のスペックで最も心躍ったのは、「前後バンパーがネジ止めで着脱可能」という一文でした。これは単なる構造上のギミックではありません。タミヤが明確に「競技シーンでの運用性」を設計思想の中心に据えてきた、というメッセージだと感じたからです。
レース当日、刻一刻と変わる路面状況や、想定外のコースアウトによる破損。そんな時、シャーシを全分解せずともバンパーユニットを素早く交換できるメリットは計り知れません。ブレーキセッティングの異なる複数のバンパーを準備しておき、練習走行の結果を見て瞬時に入れ替える…そんな光景が目に浮かびます。あるいは、ディスプレイ時にはバンパーを外して、ボディ本来の流麗なフォルムを堪能することもできる。 これは、箱を開けた瞬間から、サーキットのピットでどう戦うか、ガレージでどう愛でるか、という具体的なビジョンをユーザーに与えてくれる設計です。この「現場目線」こそ、MEシャーシがただ新しいだけのシャーシではない、という何よりの証拠だとぼくは考えています。
両軸シャーシ“三部作”の完成:MS・MA・MEを同じテーブルに乗せる

MEシャーシの登場は、単なる1つのシャーシの追加ではありません。これにより、それぞれに明確な個性と役割を持つ**両軸シャーシの“三部作”**が、ついに完成したのです。MSが拓き、MAが広げた世界。その先にMEは何を示すのか。それぞれのキャラクターを、公式の一次情報を基に深く掘り下げていきましょう。
MSシャーシ:高剛性と整備性を突き詰めた「競技者のための刃」
MSシャーシは、ミニ四駆PROシリーズの原点であり、その革新的な構造は今なお多くのレーサーに支持されています。その最大の特徴は、ノーズ・センター・テールからなる3分割構造です。
- 事実: 公式解説によれば、モーター両端のシャフトを伸ばしたダブルシャフトモーターを車体中央に配置し、電池をその左右に振り分けることで優れた重量バランスを実現。3つのユニットに分割・結合できる構造は、スピーディーで幅広いセッティング変更を可能にします。高剛性なボックス構造も特徴です。
- 考察: この分割構造の恩恵が最も発揮されるのは、長丁場のレースです。駆動系にトラブルが発生しても、センターユニットごとごっそり交換すれば、数分で戦線に復帰できる。この整備性の高さは、一体型シャーシにはない絶対的なアドバンテージです。一方で、その構造ゆえに各ユニットの嵌合精度が走りに直結するため、使いこなすには相応の知識と経験が求められる、玄人好みのシャーシとも言えます。
MSシャーシの魅力を体現したモデルが「ライキリ ピンクスペシャル」です。通常版のMAシャーシとは異なり、MSシャーシをベースに採用。さらに軽量で衝撃に強いポリカーボネート製クリヤーボディを組み合わせることで、MSの持つポテンシャルを極限まで引き出そうという意図が感じられます。ビビッドな蛍光ピンクのシャーシは、その戦闘力の高さを静かに主張しているかのようです。
【購入のヒント】 MSシャーシの神髄に触れたいなら、この一台は外せません。軽量なポリカボディとMSの組み合わせが、どんな走りを見せてくれるのか。その答えは、ぜひあなたの手で確かめてみてください。
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MAシャーシ:安定性と空力を両立させた「万人に応える標準解」
MSシャーシが切り拓いた両軸の世界を、より多くのユーザーに届けるために生まれたのがMAシャーシです。その名は**Midship AERO(ミドシップエアロ)**の略。MSシャーシの優れた駆動効率と、ARシャーシで培われた空力思想を一つのシャーシにまとめ上げています。
- 事実: 公式解説では、一体型のモノコック構造による組み立てやすさとメンテナンス性の向上、そして走行中の気流を意識したデザインが特徴として挙げられています。3.5:1のギヤ比、6個の低摩擦樹脂ローラー、リヤスキッドバーを標準装備するなど、箱から出した状態でも高い走行性能を発揮するよう設計されています。
- 考察: MAシャーシは、まさに「両軸シャーシの標準解」と呼ぶにふさわしい存在です。一体型モノコックによる高い剛性は、ジャンプセクションなどでの着地の安定性に大きく貢献します。複雑な組み立て工程も少ないため、初心者でもシャーシ本来の性能を引き出しやすい。その懐の深さから、街かどレースから公式の5レーンサーキットまで、あらゆるステージで安定した結果を残せるポテンシャルを秘めています。
このMAシャーシの象徴とも言えるマシンが、根津孝太氏デザインの初代「ライキリ」です。流れるような刀の動きをイメージしたボディは、MAシャーシのエアロダイナミクス思想と完璧に融合しています。「雷切」という伝説の名を冠したこのマシンは、MAシャーシの登場をシーンに強く印象づけ、その後の両軸シャーシのスタンダードとなりました。
【購入のヒント】 両軸シャーシの世界への第一歩として、これ以上ない選択肢です。デザイン、性能、扱いやすさのすべてが高次元でバランスしたMAシャーシの完成度を、ぜひ体感してください。
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MEシャーシ:二つの偉大な血統を受け継ぐ「次代の開拓者」
そして、ついに姿を現したMEシャーシ。その姿は、MSの競技志向とMAの汎用性、その両方の血統を受け継ぎながら、全く新しい価値観を提示する「次代の開拓者」そのものです。
- 事実: 香港公式ページによれば、MEは「軽量・効率・コンパクト」を謳い、VZシャーシで実績のある樹脂ベアリングを採用して駆動効率の向上を図っています。そして最大の革新は、前述の通り「前後バンパーの着脱機構」。これはMSの「ユニット交換」とも、MAの「一体構造」とも異なる、第三の回答です。重量については「FM-AやMSと同程度」という相対的な表現に留められており、絶対値の公表が待たれます。
- 考察: MEシャーシは、MSとMAの“良いとこ取り”を目指したシャーシだと考えられます。VZ系パーツの採用による軽量化とスムーズな駆動は、MSが持つ駆動効率の良さを現代的にアップデートしたものでしょう。一方で、過度に複雑化させない構造は、MAが示した扱いやすさへの配慮を感じさせます。そして、そこに加えられた「バンパー着脱」という名の圧倒的な拡張性。これは、ユーザーが自分のスタイルに合わせてマシンの性格を自在に変えることを可能にします。MEシャーシは、タミヤからぼくらユーザーへの「このシャーシをどう育て、どう戦うかは、君たち次第だ」という挑戦状なのかもしれません。
【購入のヒント】 まだ見ぬ可能性に賭けたい、最先端の走りを自分の手で切り拓きたい。そんな探求心あふれるレーサーにこそ、MEシャーシは最高の相棒となるでしょう。
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三部作・性能比較早見表
ここで、三つのシャーシの特性を一覧で比較してみましょう。公式で確定している事実はそのままに、ぼくの考察(★印)を加えています。
観点 | MSシャーシ (競技者の刃) | MAシャーシ (標準解) | MEシャーシ (次代の開拓者) |
駆動・配置 (事実) | 中央ダブルシャフト | 中央ダブルシャフト | 中央ダブルシャフト |
構造 (事実) | 3分割 (高剛性・整備性) | 一体モノコック + エアロ | 軽量・効率 / 樹脂ベアリング / 前後バンパー着脱 |
代表サイズ例 (事実) | 153×89×42mm (95486) | 156×97×43mm (18640) | 156×97×40mm (18663) |
ギヤ比 (事実) | 3.5:1 (95486) | 3.5:1 (18640) | 3.5:1 (18663) |
重量の扱い (事実) | 公称g値 未掲載 | 公称g値 未掲載 | 公称g値 未掲載 (FM-A/MSと同程度と記載) |
使い分け (考察)★ | 駆動系の迅速交換に強い | 素組みでの安定性が高い | ピットでの対応力と拡張性が武器 |
「大会で使えるの?」最大の疑問に、公式ルールで答える

これだけ革新的なシャーシが登場すると、誰もが抱く疑問があります。「このシャーシは、タミヤの公式大会で本当に使えるのか?」と。特に、着脱式バンパーのような新しい機構は、レギュレーションに抵触しないか不安になるかもしれません。
結論から言いましょう。全く問題なく使えます。
公式レギュレーションの壁(事実)
タミヤの「ミニ四駆公認競技会規則」には、使用できるシャーシの種類について明確な記述はありません。その代わり、マシンの寸法や重量、改造範囲について厳密な規定が設けられています。
- 全長: 165mm以内
- 全幅: 105mm以内
- 全高: 70mm以内
- 最低地上高: 1mm以上
- 全装備最低重量: 90g以上(電池、モーターを含む)
MS、MA、そして新登場のMEシャーシも、これらの規定寸法内に収まるよう設計されています。つまり、「両軸シャーシだから」「新しいシャーシだから」という理由でレースに出場できない、ということは一切ありません。重要なのは、レギュレーションの範囲内でいかにマシンの性能を引き出すか、という一点に尽きます。
【出典】タミヤ ミニ四駆公認競技会規則https://www.tamiya.com/japan/mini4wd/regulation.html
ミニ四駆公認競技会規則ミニ四駆公認競技会規則レースに参加する前には、必ず最新の公式ルールに目を通しておくことを強くお勧めします。
三部作それぞれの大会適性(考察)
では、レギュレーション上は平等な三者ですが、実際のレースシーンではどのような使い分けが考えられるでしょうか。
- MSシャーシ: やはりその整備性は、一日がかりの公式大会において大きな武器になります。練習走行でモーターが消耗したり、ギヤが欠けたりといった不測の事態にも、センターユニットの交換で迅速に対応できる安心感は何物にも代えがたいでしょう。
- MAシャーシ: その安定性は、特に複雑な立体コースで真価を発揮します。ジャンプ後の着地で姿勢を崩しにくいため、完走率を高めたい場合には非常に頼りになる選択肢です。多くのユーザーがいるため、セッティングのノウハウが共有されやすいのもメリットです。
- MEシャーシ: 未知数ながら、バンパー着脱機構がレースの常識を変える可能性があります。例えば、午前中の予選と午後の決勝でコースレイアウトが変更された際、ブレーキやローラーのセッティングを施したバンパーユニットを丸ごと交換することで、短時間でマシン特性を最適化できるかもしれません。その軽さと効率の良さが、加速力や最高速にどう影響するのかも非常に興味深い点です。
ぼくの決意と、あなたへの提案:どの“一振り”を手に取るか

ここまで、事実と考察を交えながら両軸シャーシ三部作の物語を紐解いてきました。MS、MA、そしてME。それぞれに魅力があり、それぞれの正義がある。では、ぼくらはどのシャーシを、どの“一振り”を手に取るべきなのでしょうか。
あなたのスタイルに合わせた「買い方」ガイド
もしあなたが、どのシャーシから始めるべきか迷っているなら、ぼくの独断と偏見によるガイドを参考にしてみてください。
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ぼくの誓い:事実は更新し、推測は検証する
「雷斬」とMEシャーシが、ぼくらの前に完全な姿を現す日はもうすぐです。日本国内での正式な発表があった際には、この記事に記載した情報を最新のものに更新し、語句や数値を公式表記へと差し替えることを約束します。
そして、ぼく自身も必ず「雷斬」を手に取ります。その手で組み立て、サーキットで走らせ、MEシャーシの持つ真のポテンシャルを検証します。そこで得られた手触りと結果を、またこの記事に書き足していくつもりです。
MS、MA、そしてME。両軸シャーシ三部作がそろった今、ぼくらの冒険は、また新たな始まりを迎えます。“走らせる前から物語は始まっている”。この胸の高鳴りを、ぜひあなたと共有したい。さあ、一緒に次のサーキットへ向かいましょう。
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