『ゴジラ-0.0』の公開が、11月3日に迫ってきました。映画館のドルビーアトモスとは何なのか、公開を前にあらためて調べてみました。
ぼくは前の記事で、『ゴジラ-0.0』を観る映画館を音響で選びました。公開直前に出た紹介記事で、監督が音響のこだわりを熱く話しているのを読んで、音響にこだわって正解だったんじゃないかな、と思っています。これは楽しみです。ぼくは、TOHOシネマズ ららぽーと富士見の1番スクリーンで観ると決めました。
ドルビーアトモスという名前はよく聞くけれど、これまでの映画館の音と何が違うのか、よく分からないという人も多いと思います。ぼくが観る1番スクリーンを例に、12本の動く図解で見ていきましょう。
狭山から行ける映画館を、音響で並べた前の記事はこちらです。

公開日まで、前作の『ゴジラ-1.0』を観返して待つのもいいかもしれません。ドルビーアトモスの音声が入ったディスクもあります(家でアトモスの音を聞くには、対応した機器が要ります)。
映画館のドルビーアトモスとは
ドルビーアトモスは、アメリカのドルビー社が作った、映画館の音響の仕組みです。ドルビーの資料(英語のPDFです)によると、始まりは2012年で、ピクサーの映画『Brave』で最初に使われました。日本では、TOHOシネマズが2013年9月に、ららぽーと船橋への導入を発表しました。この発表には、映画館を運営する会社としては日本で初めて、とあります。
ドルビーの公式ページは、ドルビーアトモスを、映画館の音響に2つの考え方を持ち込んだものだと説明しています。ひとつは「オブジェクト」で、音ひとつひとつに位置の情報を持たせます。もうひとつは「天井スピーカー」で、天井にもスピーカーを付けます。
5.1chや7.1chと何が違う?
5.1chや7.1chの「ch」は、チャンネルの略です。画面の前、客席のまわり、低音用というふうに、音の送り先があらかじめ決まっていて、作る側は「この音は前」「この音は後ろ」と、送り先を選んで音を入れていく方式です。数字は送り先の数で、5.1chは、前と客席のまわりに5つと、低音用に1つ(0.1と数えます)。7.1chは、前と客席のまわりが7つに増えます。
ドルビーの説明では、この従来のサラウンド(客席のまわりのスピーカーで音を囲む方式)は、音を少ない数のチャンネルに閉じ込めてしまうので、サウンドを頭の上に持ってくることはできません。壁に付いたスピーカーは2つか4つのゾーン(スピーカーのグループ)に分かれていて、同じゾーンのスピーカーは、同じ音を鳴らします。
ドルビーアトモスは、音がチャンネルから解放される、というのがドルビーの説明です。音ひとつひとつに「どこで鳴らすか」という位置の情報を持たせて、映画館の中のどこにでも置いたり、動かしたりできます。
オブジェクトって何?
オブジェクトは、位置の情報が付いた、音ひとつひとつのことです。ドルビーの説明には、飛行機が頭の上から飛んでいったり、ドアが左側で閉まったりする音が、例に出てきます。
位置などの情報(メタデータ)は、音そのものとは別の、音についての情報のことです。止まったままの音もあれば、位置が変わって動く音もあって、その動きは位置の情報で決まります。
どのスピーカーで鳴らすかを決めるのは、映画館の中にある、ドルビーアトモス用のシネマプロセッサー(音を割り振る機械)です。作る側は音の場所を決めて、スピーカーへの割り振りは映画館の機械がやる、という分担になっています。
天井のスピーカー
もうひとつの考え方が、天井のスピーカーです。従来の5.1chや7.1chの映画館では出せなかった、頭の上の音が出せるようになります。飛行機が頭の上を飛んでいく音を、本当に頭の上に通せるわけです。
ただ、ドルビーは、天井スピーカーを使うことは違いをいちばん分かりやすく体感できる部分だけれど、違いのごく一部にすぎない、と説明しています。天井にスピーカーを足しただけ、という話ではなさそうです。
天井のスピーカーが何台あるのかは、映画館ごとに違うようで、ドルビーの公式ページにも、決まった台数は出ていません。
128と64は何の数?
ドルビーアトモスの説明では、128と64という数字がよく出てきます。128は、音のトラック(効果音や音楽などを1つずつ分けて入れておく、音のデータの単位)の数です。64は、スピーカーの台数の上限です。数えているものが別々で、どちらもドルビーの公式の数字です。
128トラックの中身
アトモスは、最大128のトラックを1つにまとめられて、内訳は、9.1ベッドが1つと、最大118のオブジェクトです。
ベッドは、従来のチャンネル方式の部分のことです。周囲の効果音や背景の音楽は、チャンネル方式でも向いているので、アトモスの中にも、オブジェクトと一緒に入っています。
128はスピーカーの数ではなく、どちらの数字も「最大」の数字です。
スピーカーは何台?
スピーカーは、最大で64台です。ドルビーアトモス対応の映画館では、スピーカーが1台ずつ、別の音の信号を受け取って鳴ります。従来のサラウンドは、同じゾーンのスピーカーが同じ音を鳴らしていたので、そこが大きな違いです。
64は上限の数なので、どの映画館にも64台付いているわけではありません。
家で聞くドルビーアトモス
ドルビーアトモスは、映画館だけのものではありません。ドルビーの家庭向けの説明(英語のページです)には、アトモスに対応したサウンドバー(テレビの前に置く細長いスピーカー)などで、家でも楽しめると書かれています。
家で頭の上の音を出す方法として、ドルビーの説明には、天井に付けるスピーカーと、天井に向けて音を出して反射させる上向きのスピーカーが出てきます。サウンドバー向けの2018年の資料には、上向きのスピーカーを使う方式のほかに、耳の高さのスピーカーだけで頭の上の感じを作る「バーチャル」の方式も載っています。
映画館のドルビーアトモスは、客席の上にスピーカーを並べて、頭の上の音を出します。家庭の機器は作りが違って、サウンドバーには、天井にスピーカーを使わないバーチャルの方式のものもあります。ドルビーアトモスで聞くには、対応した機器に加えて、アトモスの音が入った作品やサービスも必要です。
どの映画館でも同じデータ?
映画館は、広さも、スピーカーの台数も、それぞれ違います。アトモスでは、必要な情報が上映用のデータ(DCP。デジタルシネマパッケージの略です)に1つにまとめられていて、全部の映画館に同じものが届きます。
音を作る段階で、どこにどんな音を置きたいかという制作者の意図をデータに入れておきます。上映のときは、映画館のシネマプロセッサーが、その映画館のスピーカーの場所に合わせて、リアルタイムで音を割り振ります。
ドルビーによると、5.1または7.1チャンネルから64チャンネルまで、どんな映画館でも、制作者の意図が一貫して再現されるそうです。映画館のどこに座っても同じ効果音が聞こえて、どの席も「スイートスポット」(音がいちばんよく聞こえる場所)になる、ともメーカーのドルビー自身が説明しています。
ゴジラの音づくりとアトモス
11月3日に観る『ゴジラ-0.0』の音づくりの話に戻ると、冒頭の紹介記事(デイリースポーツのYahoo!ニュース)によれば、東宝スタジオの音響設備が新しくなって、ドルビーアトモス用のミックスができるようになったそうです。ミックスは、台詞や効果音、音楽を合わせて、映画の音に仕上げる作業のことです。
そのうえで、監督はこう話しています(Yahoo!ニュース、デイリースポーツ配信の記事より)。
足して豪華にしていくのと、最初から豪華版がドン!って作れるのは全然違う。すさまじいことなんです
音響にこだわって映画館を選んだぼくには、楽しみが増える言葉でした。
アトモスで作った音と5.1chの版
ドルビーの公式ページには、ドルビーアトモスで音を作ると、5.1chと7.1chの版を自動で作れる、と書かれています。アトモスで作った音から、従来の方式の版を用意できる、という流れです。
監督の「全然違う」は、何が?
公式ページにあるのは、アトモスから5.1chや7.1chの版を作れる、というところまでです。「足して豪華にしていく」と「最初から豪華版がドン!って作れる」が、仕組みの上でどう違うのかは、書かれていないようです。
もしかすると、足して豪華にしていくほうは、できあがった5.1chなどの音に、あとから位置の情報つきの音を加えていくこと、最初から作るほうは、音ひとつひとつに、最初から位置を決めて作っていくこと、なのかもしれません。そうだとしたら、位置を決められる自由さが違ってくるんじゃないかな、と思います。
監督の言葉がどんな違いを指しているのかは、観る前から答えが出る話ではなさそうです。こういう違いがあるのかな、と思いながら観るのが楽しみです。
『ゴジラ-1.0』には、小説版もあります。Amazonの商品ページでは、著者が「山崎 貴」で、監督が自分で小説にした本と紹介されています。
ららぽーと富士見1番スクリーン
TOHOシネマズ ららぽーと富士見は、埼玉県富士見市のららぽーと富士見の3階にあります。スクリーンは全部で9つあって、ドルビーアトモスがあるのは、1番スクリーンだけです。仕組みの話に出てきたスピーカーや天井が、ぼくの観る1番スクリーンでどうなっているのか、公式の情報から分かるところを見てみましょう。
1番の大きさと席の数
TOHOシネマズの公式ページ(2026年11月2日時点)によると、1番スクリーンの座席数は356席で、ほかに車椅子用が2席あります。スクリーンのサイズは、公式の表に「18.7×7.8m」とあります。音響の欄は「DOLBY ATMOS(対応作品のみ)」です。
スクリーンの種類は、TOHOシネマズ独自規格の「TCX」です。TCXは「TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN」の略で、公式の説明では、TCXの巨大なスクリーンは、通常のスクリーンのワンランク上を行く臨場感あふれる映像を届ける、とされています。
ららぽーと富士見の2〜4番と比べる
ららぽーと富士見の2番、3番、4番スクリーンは、公式の表で、音響がデジタル5.1ch/7.1chとされています。11月3日に『ゴジラ-0.0』の通常版(ドルビーアトモスではない上映)がかかるのは、この3つのスクリーンです(TOHOシネマズの上映スケジュール、2026年11月2日時点)。1番スクリーンと並べると、画面の大きさも、席の数も、音の方式も違います。
1番のスピーカー
音響については、公式の施設紹介に、ドルビーアトモスの特長として「天井に設置されたスピーカーにより高さを含む3次元的な表現が可能」「スピーカー毎に自在に音を配置し、移動させることが可能」とあります。
スピーカーの機種については、同じ施設紹介に、米国クリスティ社製「ヴィヴ・オーディオ」を導入したとあります。「※全てのスクリーンに導入」という注記もついているので、1番スクリーンだけの設備というわけではないようです。
ドルビーの説明のとおりなら、11月3日にぼくが観るゴジラの音も、1番スクリーンの機械が、1番のスピーカーの場所に合わせて割り振ることになります。公式の施設紹介にある、天井のスピーカーによる高さの表現や、スピーカーごとに音を動かせる特長は、その割り振りで使われると考えられます。
天井に何台あるのか、スピーカーが全部で何台なのか、どこに置かれているのかは、公式の施設紹介に出ていないようです。確認できる数字が無いので、図の中のスピーカーの数と位置は、1番スクリーンの本物ではなく、イメージです。台数をご存じの方がいたら教えてください。
ドルビーシネマとの違い
ドルビーシネマの中身
ドルビーアトモスと名前が似ているものに、ドルビーシネマがあります。ドルビーの説明では、ドルビーシネマは、映像のドルビービジョンと、音のドルビーアトモス、それに映画館の作り(デザイン)を組み合わせたものです。
ドルビーは、映画館向けの提供を、ドルビーシネマ、ドルビービジョンとアトモス、アトモスだけ、の3段に分けて紹介しています。いちばん上がドルビーシネマで、アトモスは、その中の音の部分にあたります。
1番スクリーンはドルビーシネマ?
TOHOシネマズの公式ページ(2026年11月2日時点)では、ドルビーシネマの導入映画館と、TCX・ドルビーアトモスの導入映画館が、別々に載っています。TOHOシネマズでドルビーシネマがあるのは、すすきの・大井町・ららぽーと門真の3つの映画館で、ららぽーと富士見は入っていません。ららぽーと富士見は、ドルビーアトモスの導入映画館の一覧には載っています。
だから、TOHOシネマズの案内の上では、1番スクリーンは、ドルビーシネマではなく、TCXとドルビーアトモスのスクリーンです。
11月3日の1番スクリーン
上映時刻と料金
『ゴジラ-0.0』は、11月3日の1番スクリーンで、ドルビーアトモスの上映が4回あります。TOHOシネマズの上映スケジュール(2026年11月2日時点)では、開始と終了の時刻は次のとおりです。
- 9:40〜12:13
- 12:45〜15:18
- 15:50〜18:23
- 20:25〜22:58
上映スケジュールは変わることがあるので、観に行く前に、公式の上映スケジュールを見てみてください。
料金は、TOHOシネマズの料金ページに、ドルビーアトモスの追加料金が鑑賞料金+100円、料金例は一般2,000円+100円=2,100円と載っています(2026年11月2日時点)。割引など、ほかの料金は、購入の画面で見るのがたしかです。
ほかの回も選ぶなら
音、席数、スクリーンの大きさなどから、11月3日に観られる回のトップ5を選んだ記事もあります。

まとめ
ここまでの話を4つにまとめると、こうなります。
- ドルビーアトモスは、音ひとつひとつに位置の情報を持たせて、天井も含めたスピーカーで、映画館の中のどこにでも置いたり動かしたりする仕組みです。
- 音は、9.1ベッドと最大118のオブジェクトで、最大128トラック。スピーカーは最大64台で、どの数字も「最大」です。
- どのスピーカーで鳴らすかは、映画館の機械が、その映画館のスピーカーの場所に合わせて割り振ります。
- ららぽーと富士見でドルビーアトモスがあるのは1番スクリーンだけで、11月3日は4回の上映があります。ドルビーの説明のとおりなら、ぼくが観るゴジラの音は1番スクリーンのスピーカーの場所に合わせて割り振られますが、スピーカーの台数と位置は、公式の施設紹介に出ていないようです。
映画を観たあと、家のテレビでも、ドルビーアトモスの作品を観たくなるかもしれません。ストリーミングの機器にも、アトモスに対応したものがあります。ただ、アトモスで観られるのは、対応した機器とつないで、対応した作品やサービスを選んだときだけです。
ぼくは11月3日、その1番スクリーンで観ます。公開日が待ち遠しいです。みなさんも、いい音でゴジラに会えますように。

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