Power Appsでアプリを作成するとき、画面ごとに設定されたコード(数式)をまとめてチェックしたいと思っていました。ところが、何度も操作してみても画面左側で右クリックして表示する方法しか見当たらず、効率よく一括表示ができない状況に直面しました。試しに昔の方法を参考にして「ファイル」タブを探してみたら、そもそもそのメニューが見当たらないのです。どうやらこれはPower AppsのモダンUI特有の仕様が関係しているらしいと気づき、いろいろと調べたり実際に操作をしてみた結果、画面ごとのコード管理やクラシックUIへの切り替えの可否について紆余曲折の末に分かったことがありました。この記事では、僕が実際に踏んだ失敗や気づきを含め、最終的にどのような方法で対処できるかをまとめます。
モダンUIとクラシックUIの違いに気づくまで
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どうしてまとめてコードを表示したかったのか
僕が最初に抱えた悩みは「一つひとつの画面を右クリックしてコードを表示するのが面倒」という点でした。Power Appsの画面(Screen)は複数作成していくうちに、画面名がScreen1、Screen2、Screen3…と増えていきます。そのたびに個別の画面を右クリックし、「コードを表示」を選択して数式を確認するのは作業量が多く感じられたのです。
さらに、アプリ全体のロジックを俯瞰(ふかん)して把握したい場合、画面を切り替えながら部分的にコードを見ても理解が難しくなることがあります。そこで「一括で見られたら便利だろう」と考えたのがはじまりでした。
「ファイル → アプリ → すべての数式」を探して行き詰まる
ネット上の情報や経験者の声を聞くと、かつては**「ファイル → アプリ → すべての数式」というメニューでアプリ全体のコードを一覧表示できたそうです。そこで早速僕も手元のPower Apps Studioを開いてみました。ところが、画面をいくら探しても「ファイル」タブが存在しない**のです。
「画面上部のどこかにあるのかな?」「左側のメニューに隠れているのかな?」と試行錯誤しましたが、それらしき場所は見つかりません。ここでようやく「もしかして僕の環境は違うバージョンなのかも」と考えました。
モダンUIとクラシックUIの差異を発見
そこでPower Appsの仕様をより詳しく調べると、モダンUIと呼ばれる新しい画面デザインが存在することを知りました。従来のバージョンであるクラシックUIとは操作レイアウトが大きく異なり、クラシックUI時代に使えていた機能がモダンUIでは非表示になっているケースがあると分かりました。
以下は主な差異の例です。
- クラシックUI
- 画面左上に「ファイル」タブがある
- 「アプリ」メニューから「すべての数式」機能を利用できる
- モダンUI
- 「ファイル」タブがなく、別のメニュー配置に移行
- 「すべての数式」機能が現時点で見当たらない
- 画面の右クリックメニューで「コードを表示」を開くことが基本
こうして「僕が使っているのはモダンUIだから、クラシックUIの操作方法とは違うんだ」という点を確信しました。
失敗と発見:モダンUI環境での試行錯誤
失敗1:右クリック連打でもまとめられない
まずは強引に、画面ごとに右クリック→コードを表示を開いて全部の数式をコピペしようとしました。一時的には可能ですが、画面数が増えるとものすごく面倒ですし、修正があったらもう一度やり直す必要があります。これでは生産性が下がってしまいます。
失敗2:クラシックUIへの切り替え探し
次に考えたのは「どこかの設定からクラシックUIに戻せないか」という方法です。一部の環境では、Power Apps Studioの「設定」(歯車アイコン)か「環境設定」の中にクラシックエクスペリエンスを使用するといった項目が用意されていることがあります。もしこれがオンにできれば、以前と同じように「すべての数式」を利用できるのではないかと思いました。
しかし僕が確認した環境では、そうしたオプションは見当たりませんでした。また、テナントやライセンス、Power Appsのバージョン状況によって、この項目が表示されたりされなかったりする場合があると分かりました。つまり、環境によっては完全にモダンUIしか使えないということが分かり、ここでも行き詰まりました。
失敗3:外部ツールや拡張機能を模索
「公式で機能がなくても、何か外部ツールや拡張機能で一括抽出ができるのでは?」と思い調べました。しかし、Power Appsはクラウド上で動作するため、ブラウザの拡張機能などでは容易に数式を一括取得できないようです。APIやデザイナーの拡張などでうまく取り出す裏技があるのかもしれませんが、公式にサポートされた方法とは言えないためリスクも大きいと感じました。
解決策:現状のモダンUIで考えられる手段
方法1:画面ごとにコードを表示しながら管理する
根本的な解決策とは言えないかもしれませんが、いちばん確実なのは**既存の右クリック→「コードを表示」**で確認する方法です。以下のようにすれば、多少の手間はかかっても管理しやすくなる場合があります。
- コード表示画面を開いたら、すぐにテキストファイルやノートアプリにコピーしておく
- 変更箇所が分かりやすいように日付や画面名をメモする
- 運用上、特に頻繁に変わりそうな画面だけ重点的にチェックする
画面数が少ないうちはこの方法でも問題ないかもしれません。ただ、大規模アプリになるとやはり手動管理は大変です。
方法2:クラシックUIに切り替え可能なら利用する
もし環境設定や設定メニューなどに**「クラシックエクスペリエンスを使用する」**が存在する場合は、一時的にクラシックUIに切り替えることで「すべての数式」機能を利用できます。
- 右上の歯車アイコン(設定)をクリック
- 「環境設定」「機能」「実験的機能」など、項目を探す
- 「クラシックエクスペリエンスを使用する」のようなトグルスイッチがあればオンにする
- 一度再読込みすると、クラシックUIのレイアウトで表示される
ただし、この設定はユーザー単位やテナント単位で有効かどうかなど、環境ごとに違いがあります。また将来的に完全にモダンUIに移行する可能性も高いため、長期的にはモダンUIに合わせた運用を考える必要があるでしょう。
僕が学んだことと今後の展望
今回の経験で特に印象的だったのは、ドキュメントや各種情報源がクラシックUIベースで書かれている場合がまだ多いという点です。Power Appsは進化が速く、モダンUIへの移行によってドキュメントと現場の実際の画面が食い違うケースが結構あります。
コード一覧表示機能は開発者にとってとても便利なので、将来的にモダンUIでも公式機能として再実装される可能性があります。ただ、現時点では見当たらないため、画面単位での右クリックまたはクラシックUI切り替えが唯一の手段だと考えています。
もし大規模なアプリを管理するなら、画面数を抑える工夫やコンポーネント化で重複ロジックを減らすなど、設計面での工夫がより重要になると感じました。
まとめ
- モダンUIのPower Appsでは「ファイル → アプリ → すべての数式」が存在しない
- 画面ごとの右クリック→「コードを表示」で個別に確認するしか方法がない
- 一部環境ではクラシックUIへの切り替えが可能だが、そうでない場合は手動管理が必要
- 将来的なアップデートで機能が戻る可能性はあるが、現状は対処療法的な対応がメイン
僕自身、複数の画面に渡ってロジックを書いていると全体像をつかみづらいと感じることがあります。小まめなドキュメント化や変更履歴の記録、可能であればコンポーネント化やパラメータ管理の工夫によって、コードの混乱を少しでも減らしていくのが現時点では大切だと思いました。
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