ある日突然、自分の愛機が「終わりの始まり」を宣告される。そんな経験、あなたにはありますか? ぼくは先日、まさにその恐怖を味わいました。きっかけは、何気なく目にした一本のニュース記事。「Xiaomi、HyperOS 3への移行に向けて一部機種のサポートを終了へ」。その文字が目に飛び込んできた瞬間、血の気が引くのを感じました。ぼくの愛するスマートフォン「Xiaomi 13T Pro」は、まだ戦えるのか? それとも、もう見捨てられてしまうのか? 不安に駆られたぼくは、情報の海へと飛び込みます。しかし、それは安堵と絶望、期待と諦めが幾重にも折り重なる、長い長い旅の始まりでした。そもそもぼくは、世間がHyperOS 2.0の話題で持ちきりだった頃から、頑なにアップデートを拒み、HyperOS 1.0を使い続けていた”時代遅れ”のユーザー。そんなぼくが、最新のHyperOS 3の登場という現実を前に、何を感じ、何を考え、そしてどんな結論にたどり着いたのか。これは、アップデートという巨大な波に翻弄され続けた、一人のガジェット好きの赤裸々な心の記録です。
- すべては一本の記事から始まった。Xiaomi HyperOS 3が突きつけた「終わりの始まり」
- 漂流する情報、信じるべきは何か。公式ソースを求めたぼくの調査記録
- 安堵の先にあった”本当の敵”。OSアップデートという巨大な壁
- ぼくが”人柱”にならなかった理由。HyperOS 1.0を最強にするという選択
- 希望と絶望のジェットコースター。HyperOS 2.3と「見捨てられた」という勘違い
- 絶望の淵で見つけた”神のツイート”。Xiaomiとの間に結ばれた「固い約束」
- 平穏は長く続かない。HyperOS 3の影がもたらした「新たな虚無感」
- ぼくが下した最終結論。古びたOSと、まだ見ぬ未来のスマホと
- まとめ:アップデートに振り回されないために
すべては一本の記事から始まった。Xiaomi HyperOS 3が突きつけた「終わりの始まり」
この物語の幕開けは、いつもと同じ、何の変哲もない一日のはずでした。いつものようにスマホ関連のニュースをチェックしていると、ガジェット好きなら誰もが知る有名サイト「スマホダイジェスト」さんの一つの見出しが、ぼくの目に焼き付いて離れなくなりました。
「サポート終了」という死の宣告
その見出しとは、「Xiaomi、HyperOS 3への移行に向けて一部機種のサポートを終了へ――RedmiやPOCOを含む複数モデルが対象に」。心臓がドクン、と嫌な音を立てたのを覚えています。スマートフォンの「サポート終了」は、実質的な死の宣告に他なりません。新しい機能が追加されなくなるのはもちろん、セキュリティ上の脅威からも無防備になることを意味します。ぼくは震える指で記事を開き、そこに並べられた「EOL(End of Life:製品寿命の終了)」リストに、自分の愛機の名前がないことを必死に祈りました。
参考:Xiaomi、HyperOS 3への移行に向けて一部機種のサポートを終了へ――RedmiやPOCOを含む複数モデルが対象に | スマホダイジェスト
幸い、そのリストに「Xiaomi 13T Pro」の名前はありませんでした。しかし、一度芽生えた不安は、そう簡単には消えてくれません。この記事の情報は本当に正しいのか? もっと公式で、確実な情報源はないのか? ぼくの心は、疑念と安堵の狭間で揺れ動き、より確かな答えを求めて、情報のジャングルへと分け入っていくことになったのです。
なぜサポート終了は避けられないのか
そもそも、なぜメーカーはスマートフォンのサポートを終了するのでしょうか。それは、決してユーザーを切り捨てるためではありません。新しいOS、新しい機能、そして新しいハードウェアが次々と生まれる中で、メーカーは限られた開発リソース(人材や時間、コスト)を、より新しい製品やソフトウェアに集中させる必要があるのです。古い機種のすべてを未来永劫サポートし続けることは、物理的に不可能なのです。今回のXiaomiの動きも、Android 16をベースに開発が進むとされる次世代の「HyperOS 3」に全力を注ぐための、苦渋の、しかし必然の決断だったと言えるでしょう。この現実を理解はしていても、いざ自分の愛機がその対象になるかもしれないと思うと、やはり穏やかではいられませんよね。
漂流する情報、信じるべきは何か。公式ソースを求めたぼくの調査記録
スマホダイジェストさんの記事で一応の安堵は得たものの、心のモヤモヤは晴れませんでした。「非公式」な情報だけでは、100%安心することはできない。ぼくは、Xiaomiからの公式な発表、誰もが納得できる”エビデンス”を探すことにしました。
噂の出どころを探して
多くのテックニュースは、X(旧Twitter)上のリーカー(未発表情報を発信する人)や、特定のコミュニティでの発言が発端となることがあります。ぼくもXで「HyperOS 3」「サポート終了」といったキーワードで検索をかけてみましたが、飛び交うのは断片的な情報や個人の憶測ばかり。どの情報が正しくて、どれが単なる噂なのか、見極めるのは非常に困難でした。情報が溢れすぎている現代において、一つの情報源を鵜呑みにすることの危険性を改めて感じた瞬間でした。ぼくたちが日常的に触れる情報は、誰かの意図や解釈というフィルターを通している可能性がある。だからこそ、その情報の”源流”を探す作業が、何よりも重要になるのです。
信頼できる情報の”ありか”
ネットの海を漂流し、いくつかの海外フォーラムやテック系ブログを巡った末、ぼくはついに信頼できる情報源にたどり着きました。それは、Xiaomiが公式に運営する「Xiaomi Security Center」です。ここには、同社がリリースする製品のソフトウェアサポートに関する方針や、EOL(サポート終了)対象となる製品のリストが公式に掲載されています。まさに、ぼくが探し求めていた”一次情報”そのものでした。
この公式サイトのリストを自分の目で確認し、そこに「Xiaomi 13T Pro」の名前がどこにもないことを確認したとき、ぼくは心の底から安堵のため息をつきました。デマや噂に振り回されることなく、自らの手で公式なファクトにたどり着くこと。この情報リテラシーとも言うべきスキルが、デジタル社会を生き抜く上でいかに大切かを痛感させられました。
今回の騒動でEOLリストに追加された機種
ちなみに、今回のスマホダイジェストさんの記事で言及され、公式リストにも追加されたのは以下のモデルたちです。これらの機種を使っているユーザーにとっては、少し寂しいニュースになってしまいましたね。
ブランド | モデル名 |
Xiaomi | Xiaomi 11T Pro |
Xiaomi | Xiaomi 11T |
Xiaomi | Xiaomi 11 Lite LE |
Xiaomi | Xiaomi 11 Lite 5G NE |
Redmi | Redmi 11 Prime 4G |
Redmi | Redmi A1+ |
Redmi | Redmi A1 |
POCO | POCO M5 |
POCO | POCO C50 |

以下に全情報を載せるよ
EOL(サポート終了)全製品リスト(最終更新日: 2025-05-27)
ソフトウェアやファームウェアのアップデート(セキュリティアップデートを含む)が終了し、セキュリティ脆弱性レポートへの対応も終了となる可能性がある製品のリストです。
Xiaomi / Mi シリーズ
Mi 1 | Mi 2 | Mi 2A | Mi 3 | Mi 4 | Mi 4S |
Mi 4C | Mi 5 | Mi 5S | Mi 5S Plus | Mi 5C | Mi 5X |
Mi 6 | Mi 6X | Mi 8 | Mi 8 Lite | Mi 8 SE | Mi 8 UD |
Mi 8 Pro | Mi 8 Explore Edition | Mi 9 | Mi 9 Lite | Mi 9 Pro 5G | Mi 9T Pro |
Mi 9 SE | Mi CC 9 | Mi CC 9e | Mi CC 9 Pro | Mi Note | Mi Note 2 |
Mi Note 3 | Mi Note Pro | MIX | MIX 2 | Mi MAX | Mi MAX 2 |
Mi MAX 3 | Mi A1 | Mi A2 | Mi A2 Lite | Mi A3 (Android One) | Mi Pad |
Mi Pad 2 | Mi Pad 3 | Mi Pad 4 | Mi Pad 4 Plus | Mi MIX 2S | Mi MIX 3 |
Mi PLAY | Mi Note 10 | Mi 10 Lite zoom (CN) | Mi Note 10 Lite | Mi 10T Pro | Mi 10T |
Mi 10 lite 5G (TW) | Mi 11 Lite (TR) | Mi 11 Lite (RU) | Mi 11 Lite (IN) | Mi 11 Lite (EEA) | Mi 11 Lite (Global) |
Mi 11 Lite (ID) | Xiaomi MIX Fold (CN) | Mi 10S (CN) | Mi 10 Pro | Mi 10 | Mi 10 Ultra |
Mi 11 Lite 5G (JP) | MIX 4 (CN) | Xiaomi Pad 5 Pro 5G (CN) | Xiaomi Pad 5 Pro (CN) | Xiaomi Civi (CN) | Xiaomi 12X |
Xiaomi Civi 1S (CN) | Mi 11X Pro (IN) | Mi 11i (Global) | Mi 11i (EEA) | Mi 11 Ultra (Global) | Mi 11 Ultra (IN) |
Mi 11 Ultra (EEA) | Mi 11 Ultra (ID) |
Redmi シリーズ
Redmi 1 | Redmi 1S | Redmi 2 | Redmi 2A | Redmi 3 | Redmi 3S |
Redmi 3X | Redmi 4 | Redmi 4X | Redmi 4A | Redmi 5 | Redmi 5 Plus |
Redmi 5A | Redmi Note 1 | Redmi Note 1S | Redmi Note 2 | Redmi Note 2 Pro | Redmi Note 3 |
Redmi Note 4 | Redmi Note 4X | Redmi Note 5 | Redmi Note 5A | Redmi Note 5 Pro | Redmi Pro |
Redmi 6 | Redmi 6 Pro | Redmi 6A | Redmi Note 6 Pro | Redmi S2 | Redmi Y2 |
Redmi Go | Redmi Note 7 | Redmi Note 7S | Redmi Note 7 Pro | Redmi K20 | Redmi 7 |
Redmi Y3 | Redmi K20 Pro | Redmi 7A | Redmi 8 | Redmi Note 8 Pro | Redmi Note 8T |
Redmi 8A | Redmi 8A Dual | Redmi K30 | Redmi K30 5G | Redmi K30 5G Speed | Redmi 10X (CN) |
Redmi 10X Pro (CN) | Redmi Note 9 | Redmi 10X 4G (CN) | Redmi 9A | Redmi K30i 5G (CN) | Redmi Note 10 5G (MX) |
Redmi 9C | Redmi K30 Ultra (CN) | Redmi 9 | Redmi 9 Prime (IN) | Redmi 9C NFC | Redmi K30S Ultra (CN) |
Redmi Note 9 Pro (ZA) | Redmi Note 8 | Redmi Note 9 Pro (TW) | Redmi Note 9T (RU) | Redmi Note 9T (TR) | Redmi Note 9T (EEA) |
Redmi 9T | Redmi Note 9T (TW) | Redmi Note 9T (Global) | Redmi Note 10 Pro Max (Global) | Redmi Note 10 Pro (Global) | Redmi Go (RU) |
Redmi Note 10 Pro (TW) | Redmi Note 10 Pro (RU) | Redmi Note 10 Pro (TR) | Redmi Note 10 Pro (ID) | Redmi Note 10 Pro (EEA) | Redmi Note 10 Pro (Global) |
Redmi Note 10 (TR) | Redmi Note 10 5G (TW) | Redmi Note 10T (RU) | Redmi Note 8 (2021) (EEA) | Redmi Note 10 5G (TR) | Redmi Note 8 (2021) (RU) |
Redmi K40 (CN) | Redmi Note 10 JE (JP) | Redmi Note 10S (Global) | Redmi Note 10 Lite (IN) | Redmi Note 11T 5G (IN) | Redmi 10 2022 (TR) |
Redmi K40 Pro (CN) | Redmi K40 Pro + (CN) | Redmi K50 (CN) | Redmi K50 Pro (CN) | Redmi Note 11 Pro (EEA) | Redmi Note 11 Pro (ID) |
Redmi Note 11 Pro (TW) | Redmi Note 11 Pro (RU) |
POCO シリーズ
POCO F1 | POCO PHONE F1 | POCO X2 | POCO F2 Pro (Global) | POCO M2 Pro (IN) | POCO X3 (IN) |
POCO X3 NFC (RU) | POCO X3 NFC (ID) | POCO X3 NFC (TR) | POCO M3 (TW) | POCO M3 (RU) | POCO M3 (TR) |
POCO M3 (ID) | POCO X3 Pro (TW) | POCO X3 Pro (IN) | POCO M3 Pro 5G (RU) | POCO M3 Pro 5G (TR) | POCO F3 GT (IN) |
POCO F3 | POCO C31 (IN) | POCO X3 GT (ID) | POCO M4 Pro 5G (IN) | POCO M4 Pro 5G (TR) | POCO F4 GT (Global) |
安堵の先にあった”本当の敵”。OSアップデートという巨大な壁
公式リストで「セーフ」を確認し、ぼくの心には平穏が訪れるはずでした。しかし、安堵したのも束の間、ぼくの心にはまったく新しい、そしてより根深い葛藤が芽生え始めていたのです。それは、「そもそも、きみはアップデートする気があるのか?」という、自分自身への問いかけでした。
ぼくがHyperOS 2.0をスキップしている理由
何を隠そう、ぼくのXiaomi 13T Proは、世間でHyperOS 2.0へのアップデートが始まってから数ヶ月が経過した今もなお、古き良き**「HyperOS 1.0」**のままなのです。そう、ぼくは意図的にメジャーアップデートを避けていました。

その理由は単純明快。HyperOS 2.0へのアップデート直後から、各種SNSやコミュニティで「動作が重くなった」「アニメーションがカクつく」「バッテリーの減りが早い」といった、”人柱”となったユーザーたちの悲鳴が多数報告されていたからです。スマートフォンのアップデートは、新機能という蜜の味をちらつかせながら、時として「文鎮化」という奈落の底に突き落とすロシアンルーレットでもあります。ぼくは、その賭けに乗る勇気がなかったのです。
目の前にぶら下がる「6.1 GB」の誘惑
ぼくの端末には、今もこうしてアップデートの通知が届いています。「アップデートが利用可能です」という魅力的な言葉と共に、バージョン「2.0.3.0.VMLJPXM」、サイズ「6.1 GB」という、巨大なアップデートファイルが鎮座しているのです。


青く輝く「ダウンロードしてインストール」のボタンは、まるで「さあ、押すんだ」とぼくを誘惑しているかのよう。しかし、ぼくの指は動きません。HyperOS 3の心配をする以前に、ぼくはHyperOS 2.0という巨大な壁すら乗り越えられずにいたのです。この事実が、サポート終了を免れた安堵感を、奇妙な罪悪感と自己矛盾へと変えていきました。ぼくは一体、何と戦っているのでしょうか。
ぼくが”人柱”にならなかった理由。HyperOS 1.0を最強にするという選択
アップデートから逃げているような罪悪感。しかし、ぼくの選択は単なる「逃げ」ではありませんでした。それは、現状の快適さを守り、さらに最大化するための、積極的な「防衛戦略」だったのです。
不安定な最新より、安定した旧式を
ぼくは以前、自身のブログで「Xiaomi 13T ProのHyperOS 2.0アップデートは待つべきだ」と警鐘を鳴らす記事を書きました。そこで提唱したのは、不安定さが報告されている最新バージョンに飛びつくのではなく、完成度が高く安定しているHyperOS 1.0を使い続け、さらにそれを”最強”にチューニングするというアプローチでした。これは、リスクを冒して未知の機能を手に入れるより、毎日触れる体感速度と安定性を重視するという、ぼくなりの哲学に基づいています。スマートフォンの価値は、カタログスペックやバージョン番号だけで決まるものではない。日々の暮らしの中で、いかにストレスなく使えるか。それこそが最も重要だと、ぼくは考えています。
開発者向けオプションという”魔法”
ぼくが施した「最強チューニング」の核となるのが、「開発者向けオプション」の設定変更です。これは本来、アプリ開発者向けに用意された隠しメニューですが、いくつか設定をいじることで、一般ユーザーでも劇的なパフォーマンス向上を体感できます。
具体的には、以下の3つの項目を変更しました。
# 開発者向けオプションで変更する項目
ウィンドウアニメスケール:0.5x
トランジションアニメスケール:0.5x
Animator再生時間スケール:0.5x
これらの設定は、画面遷移やウィンドウ表示の際のアニメーション(視覚効果)の再生速度をコントロールするものです。標準の「1x」から「0.5x」に半減させるだけで、UI(ユーザーインターフェース)のあらゆる動きが驚くほどキビキビし、まるでスマートフォンの性能が一段階アップしたかのような錯覚を覚えます。これはOSの根本的な問題を解決するものではありませんが、体感速度を向上させる対症療法としては、絶大な効果を発揮します。最新OSの不具合報告を横目に、最適化された旧OSで快適なスマホライフを送る。これこそが、あの時点でのぼくの最適解だったのです。
希望と絶望のジェットコースター。HyperOS 2.3と「見捨てられた」という勘違い
HyperOS 2.0をスキップし、最適化した1.0環境で平穏な日々を送っていたぼくの元に、ある日、新たなニュースが舞い込んできました。それは、ぼくの心を大きく揺さぶる、まさに希望と絶望のジェットコースターのような報せでした。
神アプデか?「HyperOS 2.3」の登場
そのニュースとは、「XiaomiがHyperOS 2.3の安定版を提供開始した」というものでした。ぼくが警戒していた2.0ですらなく、さらにその先のバージョンです。通常、OSのマイナーアップデート(2.0から2.3など)は、パフォーマンスの最適化や不具合の修正がメインとなります。つまり、HyperOS 2.0で報告されていた「重い」「カクつく」といった問題が、この2.3では解決されている可能性が高いのです。これは、2.0へのアップデートを恐れていたぼくのようなユーザーにとって、まさに”神アップデート”になるかもしれない一筋の光明でした。ついに、安定性と新機能の両方を手に入れられる時が来たのかもしれない。そんな淡い期待が、ぼくの胸に広がりました。
すべてを変えた、あの”リスト”
しかし、その期待はすぐに絶望へと変わります。記事を読み進めると、そこにHyperOS 2.3のベータテストを実施しているモデルのリストが掲載されていました。ぼくは目を皿のようにして、そのリストを確認しました。
- Poco F7 シリーズ
- Poco X7 Pro
- Xiaomi Mix Flip
- Xiaomi Pad 7 Pro
- Redmi K70 シリーズ
何度見返しても、そこに「Xiaomi 13T Pro」の文字はありませんでした。…ない。ぼくの愛機が、ない。あれだけ「重くなるのが怖い」とアップデートをためらっていたら、今度は「じゃあ君はもういいよ」とでも言わんばかりに、新しいOSのテストリストから外されてしまった。これは一体どういうことなんだ? ぼくはXiaomiに見捨てられてしまったのか? 希望の光だと思っていたHyperOS 2.3は、ぼくには関係のない、遠い世界の出来事だったというのか。天国から地獄へ。一気に突き落とされたような絶望感が、ぼくの心を支配しました。
絶望の淵で見つけた”神のツイート”。Xiaomiとの間に結ばれた「固い約束」
ベータテストのリストに自分の名前がなかっただけで、これほどまでに落ち込むとは。絶望の淵で途方に暮れていたぼくは、半ば自暴自棄になりながら、藁にもすがる思いで検索を続けました。もう期待なんてしない。ただ、公式な見解があるのなら、それを知って、このモヤモヤした気持ちにケリをつけたい。そんな思いでした。
Xiaomi公式責任者による、奇跡の投稿
そして、いくつかの検索結果をたどるうちに、ぼくは信じられない情報源にたどり着いたのです。それは、X(旧Twitter)上の一つの投稿でした。発信者は、Daniel Desjarlaisという人物。彼のプロフィールには、信じがたい肩書が書かれていました。「Director of Communications, Xiaomi International(Xiaomi国際広報責任者)」。つまり、彼の発言は、一個人の見解ではなく、Xiaomiという企業全体の公式な発表に他なりません。
そして、そのツイートには、こう書かれていました。
「We are proud to announce a significant enhancement to our commitment to software support. Xiaomi 13T and Xiaomi 13T Pro will include 4 generations of Android OS upgrades, along with 5 years of security patches.」
(日本語訳:我々は、ソフトウェアサポートへのコミットメントを大幅に強化することを発表できることを誇りに思います。Xiaomi 13TおよびXiaomi 13T Proには、4世代のAndroid OSアップグレードと、5年間のセキュリティパッチが含まれます。)
「4世代OS+5年セキュリティ」が意味するもの
4世代のOSアップグレードと5年間のセキュリティパッチ。これがどれだけ凄いことか、伝わるでしょうか。Xiaomi 13T ProはAndroid 13で発売されました。つまり、そこから4世代ということは、Android 14、15、16、そしてなんとAndroid 17までのアップデートが約束されている、ということです。これは、GoogleのPixelシリーズやSamsungのハイエンドモデルに匹敵する、業界最高水準のサポート体制です。ベータテストのリストに名前がなかったくらいで絶望していた自分が、馬鹿みたいに思えてきました。ぼくの13T Proは、見捨てられてなどいなかった。むしろ、業界最高レベルの手厚いサポートが約束された、**”選ばれしモデル”**だったのです。この公式責任者による”神のツイート”は、ぼくが探し求めていた、何よりも確かなエビデンスだったのでした。
平穏は長く続かない。HyperOS 3の影がもたらした「新たな虚無感」
Xiaomiとの間に結ばれた「固い約束」。これで、もう何も心配することはない。アップデートに一喜一憂する日々は終わり、心穏やかにこの13T Proと付き合っていける。そう、確信していました。しかし、物語はまだ終わりではなかったのです。この物語の冒頭につながる「HyperOS 3」のニュースが、この平穏を再び打ち破ることになります。
「2世代遅れ」という残酷な現実
長期サポートが約束されているのだから、HyperOS 3が登場しようが、4が登場しようが、いずれは自分の端末にも提供されるはず。頭ではそう分かっています。しかし、感情は別でした。世間が最新のHyperOS 3の話題で盛り上がる中、自分の手元にあるのは、HyperOS 1.0。間に「2.0」と「2.3」を挟んで、もはや「2世代以上も古いOS」を使っているという現実。この事実が、じわじわとぼくの心を蝕み始めました。長期サポートという”未来の安心”を手に入れたはずなのに、”現在の取り残された感”に耐えられない。この奇妙な感情を、人は「虚無感」と呼ぶのかもしれません。
このモヤモヤの正体は何か?
なぜ、これほどまでにモヤモヤするのでしょうか。それは、ぼくらガジェット好きが、常に「最新」で「最高」の体験を追い求める生き物だからなのでしょう。安定性や実用性を重視して旧OSに留まるという合理的な判断を下した一方で、心のどこかでは、新しいOSがもたらす未知の興奮や、最先端を走っているという高揚感に憧れている。この合理的な自分と、感情的な自分の間のギャップこそが、虚無感の正体なのかもしれません。安心はしている。でも、ワクワクしたい。このどうしようもない矛盾こそが、ガジェット好きの”業”なのでしょう。
ぼくが下した最終結論。古びたOSと、まだ見ぬ未来のスマホと
EOLリストとの遭遇、公式ソースの探求、HyperOS 2.0の壁、2.3への期待と絶望、そして長期サポートの約束という大逆転。最後に訪れた、HyperOS 3がもたらした虚無感。この長く続いた紆余曲折を経て、ぼくはついに、自分自身の”HyperOS戦略”に対する最終的な結論にたどり着きました。
結論:ぼくはHyperOS 1.0の”王”として君臨する
ぼくの結論は、変わりません。「HyperOS 1.0のまま、使い続ける」。しかし、その決断の意味合いは、以前とはまったく違うものになりました。以前のそれは、不具合を恐れる「守りの待機」でした。しかし、今は違います。Android 17までの未来が約束された今、ぼくの待機は「攻めの待機」へと昇華したのです。慌てて不安定なバージョンに手を出す必要は全くない。最高のシェフ(Xiaomi)が、最高の食材(Android)を使って、最高の料理(神アプデ)をぼくのためだけに用意してくれるのを、悠然と待つ。それはもはや”待機”ではなく、王の”謁見待ち”に近い心境です。人柱さんたちの報告を吟味し、「今回は神アプデだ!」という声が多数を占めたのを確認してから、満を持してアップデートする。それで十分なのです。
その頃、ぼくは「15T Pro」を買っているかもしれない
ただ、一つだけ、ぼくの心をよぎる未来があります。その、13T Pro向けの神アプデが安定供給される頃…ぼくは一体、何をしているだろうか。もしかしたら、その頃にはもう、まだ見ぬ次々世代機、「Xiaomi 15T Pro」の箱を開けて、新しいフィルムを貼っているかもしれない。ガジェット好きの悲しい性(さが)とでも言うのでしょうか。ソフトウェアのアップデートを待つ時間よりも、ハードウェアの進化に心が追い越してしまう可能性も、否定できないのです。まあ、それはそれで、幸せな悩みなのかもしれませんね。
まとめ:アップデートに振り回されないために
今回の経験を通して、ぼくは多くのことを学びました。それは、情報の取捨選択の重要性、公式発表というファクトを自ら掴みに行くことの大切さ、そして何よりも、周りの声に流されず、自分自身の価値観と愛機の現状を信じることの尊さです。
スマートフォンのOSアップデートは、これからもぼくらを期待させ、時に裏切り、心を揺さぶり続けるでしょう。しかし、その巨大な波にどう向き合うかを決めるのは、他の誰でもない、あなた自身です。あなたのスマホとの付き合い方は、あなたが決める。今回のぼくの長い長い心の旅が、あなたが自分だけの”最適解”を見つけ出すための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
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