息子のために組んだはずのミニ四駆に、いつの間にか夢中になっている。そんな経験、ありませんか?ぼくはミニ四駆の第1次ブームを経験した世代。あの頃の熱狂を思い出しながら、息子のゴールドに輝くアバンテを眺めていました。最初はただ一緒に楽しむだけだったのに、気づけば「もっとカッコよく、もっと速くならないか」なんて考えている自分がいます。そんな時、偶然見つけてしまったんです。マシンの印象をガラリと変え、走りにも大きな影響を与えそうな、特別なパーツを。それは、フルカウルミニ四駆30周年を記念した、ゴールドメッキホイールと鮮やかなレッドスリックタイヤのセット。今回はこの希少なパーツを軸に、見た目と性能の両立を目指したカスタマイズの記録を、詳細な重量比較と考察を交えてお届けします。果たして、この選択は吉と出るのでしょうか。
きっかけは息子のゴールドアバンテ
すべての始まりは、一台のミニ四駆でした。キラキラと輝くゴールドのボディを持つそのマシンは、息子の宝物。一緒にコースで走らせる時間は、ぼくにとってもかけがえのないものです。しかし、第1次ブームの熱気を知る者として、心の奥底で何かがくすぶり始めるのを感じていました。ただ走らせるだけじゃない、自分だけの一台を作り上げるあの喜び。その思いが、今回のカスタマイズへとぼくを突き動かすことになります。まずは、この物語の主役である、ゴールドアバンテの素顔からご紹介しましょう。
第1次ブーム世代の血が騒ぐ
思えば、ぼくが小学生だった頃、ミニ四駆はまさに社会現象でした。お小遣いを握りしめてパーツを買い、友達とああでもないこうでもないと改造に明け暮れた日々。アバンテJr.が登場した時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。そんな思い出を持つ身からすると、息子がミニ四駆に興味を持ってくれたことは、本当に嬉しいことでした。最初は彼のサポート役のつもりだったのですが、パーツコーナーに並ぶ色とりどりのグレードアップパーツを見ているうちに、昔の記憶がどんどん蘇ってきます。「このローラーはあの頃あったな」とか、「今のシャーシはこんなに進化しているのか」とか。そして、自然と思うようになりました。「このマシンのポテンシャルを、もっと引き出してみたい」と。それは、息子のためという気持ちと同じくらい、あの頃の自分が果たせなかった夢への再挑戦のような感覚だったのかもしれません。

ベースマシンは「エアロ アバンテ REV スターターパック」
今回カスタマイズのベースとなったのは、タミヤから発売されている「エアロ アバンテ REV スターターパック」です。このセット、実はすごい優れものなんです。ミニ四駆をこれから始める人にとって必要な基本的なパーツや工具がセットになっていて、箱を開けてすぐに本格的なレース仕様のマシンを組むことができます。息子のアバンテも、元々はこのキットを組み立てたもの。ARシャーシという、剛性や拡張性の高いシャーシを採用しており、ノーマルの状態でもかなり安定した走りを見せてくれます。付属しているパーツも、FRPプレートやマスダンパーなど、レースの必須アイテムばかり。まさに、現代ミニ四駆の入門用として最適なキットと言えるでしょう。このキットのおかげで、息子もすぐにミニ四駆の楽しさにのめり込むことができました。
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まずは純正の状態をチェック
カスタマイズを始める前に、まずは現状を正確に把握することが大切です。ゴールドアバンテに装着されていたのは、キットに付属していたものとは少し違う、鮮やかなブルーのホイールと、ごく一般的な黒いスリックタイヤの組み合わせでした。この状態でも、自宅に設置したオーバルホームサーキットでは一度もコースアウトすることなく、非常に安定した走りを見せてくれていました。これはこれで完成されたセッティングの一つと言えます。しかし、ぼくの頭の中には、すでに新しい構想が渦巻いていました。この安定感を維持したまま、あるいはさらに向上させつつ、見た目にもっと特別な個性を与えることはできないだろうか。そのためには、まずこの純正ホイールとタイヤの性能、特に「重さ」という要素を正確に知る必要がありました。ここが、すべての比較の基準点となります。
運命の出会い?30周年記念の特別なホイール
ミニ四駆のカスタマイズにおいて、ホイールとタイヤの交換は最も手軽で、かつ効果の大きい改造の一つです。性能はもちろん、マシンの印象を決定づける重要な要素でもあります。そんなパーツを探してショップやオンラインを眺めていた時、ぼくの目はある商品に釘付けになりました。それが今回取り付ける、「フルカウルミニ四駆30周年記念」としてリリースされた、ゴールドメッキホイールとレッドスリックタイヤのセットでした。一目見ただけで、これしかない、と直感しました。
ゴールドボディに映える赤と金のコントラスト
このパーツの魅力は、何と言ってもその見た目にあります。深みのあるゴールドメッキが施されたホイールは、それ単体でも存在感抜群。まるで工芸品のような輝きを放っています。そして、それに組み合わされるのが、鮮烈な赤色のスリックタイヤ。この赤と金の組み合わせが、絶妙なコントラストを生み出しているのです。息子のマシンのボディカラーはゴールド。このホイールセットを装着すれば、統一感がありながらも、タイヤの赤色がアクセントとして際立ち、全体がグッと引き締まるに違いありません。さらに、タイヤのサイドウォールには「FULLY COWLED MINI 4WD 30TH ANNIVERSARY」という記念ロゴが白く印刷されています。これがまた、特別感を一層高めてくれるのです。性能も大事ですが、自分のマシンがカッコいいと思えることは、ミニ四駆を続ける上で何よりのモチベーションになりますからね。

定価の倍以上?その希少価値の正体
このホイールセットを手に入れようと詳しく調べてみると、少し驚きの事実が判明しました。こういった限定記念パーツは、生産数が限られていることが多く、発売から時間が経つと入手が難しくなる傾向にあります。この30周年記念セットも例外ではありませんでした。本来、こういったホイールセットの定価は400円程度なのですが、オンラインマーケットを調べてみると、Amazonでは900円前後、他のサイトではそれ以上の価格で取引されていることも珍しくありませんでした。つまり、すでに希少価値、いわゆる「プレ値」が付いている状態だったのです。これは、多くのレーサーやコレクターがこのパーツの価値を認め、需要が高まっていることの証拠でもあります。速さを買うのではなく、「今では手に入りにくい特別な見た目とキャラクター」を買っている。この価格差には、そういう種類の価値が込められているのだと感じました。幸運にも手に入れることができたこのパーツ、ただ飾っておくだけでなく、走らせてこそ価値があるはずです。
見た目だけじゃない、前後で異なる独特の仕様
このホイールセットが面白いのは、見た目だけではありません。実は、前後でタイヤの幅と、それに伴う重量が異なっているのです。セットには細いタイプと太いタイプの2種類のタイヤが2本ずつ入っています。一般的に、前輪を細くすればコーナリング時の抵抗が減って曲がりやすくなり、後輪を太くすれば接地面が増えて走行安定性やトラクション(地面を蹴る力)が向上すると言われています。このセットは、まさにそのセオリーに沿った組み合わせがパッケージされているのです。ただの色違いパーツではなく、走りにおける「性格付け」まで考慮されている。この事実は、ぼくの探究心をさらに強く刺激しました。この前後異幅のタイヤが、そしてその重量差が、ゴールドアバンテの走りに一体どんな変化をもたらすのでしょうか。期待は高まるばかりです。

数字は嘘をつかない。ホイール重量の徹底比較
ミニ四駆のセッティングにおいて、「重量」は非常に重要なパラメーターです。車体全体の重さはもちろん、特に回転部分であるホイールやタイヤの重量は、加速、最高速、そしてジャンプ後の着地の安定性など、あらゆる挙動に影響を与えます。今回のカスタマイズの核は、まさにこの重量の変化にあります。直感や見た目だけでなく、正確な数値に基づいてその変化を理解するために、デジタルスケールを用意していくつかのパーツの重量を計測してみました。この客観的なデータが、きっと走りの変化を解き明かす鍵になるはずです。
純正ホイールの重量を計測
まずは基準となる、換装前の状態から見ていきましょう。ゴールドアバンテに装着されていたブルーのホイールと黒タイヤのセットです。見た目はごく標準的なものですが、その実力は侮れません。


パーツ名 | 数量 | 計測重量 (g) | 1個あたりの平均重量 (g) |
純正ブルーホイール+黒タイヤ | 4個 | 11.4 | 2.85 |
純正ブルーホイール+黒タイヤ | 1個 | 2.8 | – |
4輪の合計重量は11.4g。1個あたりに換算すると、約2.85gとなりました。実際に1個だけで測ってみても2.8gと、ほぼ計算通りの数値です。非常に軽量で、ミニ四駆のホイールとしては標準的な重さと言えるでしょう。この軽さが、これまでの安定した走りと軽快な加速感を生み出していたと考えられます。この「11.4g」という数値を、今回の比較のベースラインとして覚えておきましょう。
主役登場、30周年記念セットの重量は?
次に、いよいよ主役である「30周年記念 ゴールドメッキホイール&レッドスリックタイヤ」の登場です。前述の通り、このセットは前後で幅が異なります。それぞれの重量を個別に計測してみました。



タミヤ(TAMIYA) ミニ四駆特別企画 フルカウルミニ四駆30周年 レッドスリックタイヤ&金メッキホイール 95665
パーツ名 | 数量 | 計測重量 (g) | 備考 |
30周年記念セット(前輪用) | 1個 | 3.2 | 細いタイプ |
30周年記念セット(後輪用) | 1個 | 4.9 | 太いタイプ |
30周年記念セット(前後1個ずつ) | 2個 | 8.1 | 3.2g + 4.9g |
結果は非常に興味深いものでした。前輪用の細いタイプは3.2g、後輪用の太いタイプは4.9gと、同じセット内で1.7gもの差があります。そして、これを4輪に換算して合計重量を出すと、(3.2g × 2) + (4.9g × 2) = 6.4g + 9.8g = **16.2g**
となります。純正ホイールの合計11.4gと比較すると、4.8gの重量増です。この差は、ミニ四駆の世界では決して無視できない、大きな変化と言えるでしょう。
参考データ:他のホイールとの比較
今回の選択が、ミニ四駆のホイール全体の中でどのあたりに位置するのかを把握するため、手元にあった他のホイールもいくつか計測してみました。セッティングの選択肢は無限にありますが、こうした比較データを持っておくことで、より深くマシンを理解することができます。
パーツ名 | 数量 | 計測重量 (g) | 1個あたりの平均重量 (g) | 備考 |
黒いホイール+タイヤ | 4個 | 14.4 | 3.6 | 今回のセットよりは軽い |
HGヘビーアルミホイールII | 1個 | 7.0 | 7.0 | タイヤ無しでも圧倒的に重い |
HGヘビーアルミホイールII+タイヤ | 2個 | 17.4 | 8.7 | 最重量級の選択肢 |

こうして見ると、今回の30周年記念セット(平均4.05g/個)は、純正(2.85g/個)よりは重いものの、レースシーンで安定性を重視する際に使われるHGヘビーアルミホイール(タイヤ込みで8.7g/個)よりは遥かに軽いことがわかります。軽快さと安定性の、ちょうど中間を狙ったような絶妙なポジション。これはますます、走りの変化が楽しみになってきました。
重量増とリアヘビー化がもたらす意味
計測結果を整理すると、今回の換装による変化は2つのポイントに集約されます。
- 全体の重量増 (+4.8g)
- 車体が重くなることで、慣性が大きくなります。これにより、ジャンプ後の着地が安定しやすくなったり、直線でのスピードの伸びが良くなったりする効果が期待できます。フライホイール効果と呼ばれるものに近いですね。一方で、加速時にはより大きなパワーが必要になるため、立ち上がりが少し鈍くなる可能性も考えられます。
- 重量配分のリアヘビー化
- 換装前は前後ほぼ均等(約5.7gずつ)だった重量配分が、換装後は前輪6.4g:後輪9.8gと、明確にリアヘビー(後ろ重心)になります。駆動輪である後輪が重くなることで、タイヤが地面をしっかりと捉え、トラクション性能の向上が見込めます。これもまた、直進安定性や登り坂での力強さに繋がる要素です。
これらの数値から導き出される仮説は、「軽快さを少し犠牲にする代わりに、マシンの安定感を大幅に向上させる」という方向性です。果たして、この狙い通りの走りを見せてくれるのでしょうか。
走りを変えるための、ささやかで重要な作業
さて、パーツの特性を理解したところで、いよいよマシンへの組み込みです。ミニ四駆の組み立ては、説明書通りに進めれば誰でも完成させることができますが、より高い性能を引き出すためには、いくつかの「コツ」が存在します。特にホイールの取り付けは、マシンの挙動を左右する非常にデリケートな作業。ここでは、ぼくが特に意識しているポイントと、今回のカスタムがもたらす物理的な変化について、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。
まっすぐが基本、「圧入」という地味な最重要工程
ミニ四駆のホイールは、接着剤やネジではなく、「圧入(あつにゅう)」という方法でシャフトに固定されます。これは、ホイールの穴の大きさがシャフトの直径よりほんのわずかに小さく設計されており、そこに力を加えて押し込むことで、摩擦によって固定される仕組みです。この圧入が、実はとてつもなく重要。もしホイールが少しでも斜めに入ってしまうと、回転時にブレ(偏心)が生じ、まっすぐ走らない、スピードが乗らない、異音が発生するなど、百害あって一利なしです。ホイールを押し込む際は、リム(外側の縁)ではなく、中心のハブに近い部分を指で均等に、まっすぐ押し込むことを意識します。そして、左右のホイールがシャーシから同じだけ突き出すように、その「出面」を揃えることも大切。この地味な作業を丁寧に行うかどうかが、マシンの仕上がりに天と地ほどの差を生むのです。
外径は同じ、変わるのは接地幅と質量だけ
今回のカスタマイズで重要なのは、換装前後のタイヤで「外径(タイヤの外側の直径)」は変わっていない、という点です。ミニ四駆においてタイヤの外径は、実質的なギヤ比に影響します。外径が大きくなれば最高速が伸び(ハイギヤ寄り)、小さくなれば加速が鋭くなります(ローギヤ寄り)。外径が同じということは、モーターの力がタイヤに伝わる際のギヤ比は変わらないということ。つまり、純粋に「接地幅(前が細く、後ろが太くなったこと)」と「ホイール質量(全体で重くなり、後ろ寄りになったこと)」の変化だけが、走りにどう影響するのかを検証できる、というわけです。これは非常に面白い実験条件が整ったと言えるでしょう。余計な変数が少ない分、このホイールセットが持つ本来の性能を、ストレートに感じ取ることができるはずです。
レーンチェンジ(LC)安定への期待と加速への懸念
では、その変化が実際のコースでどう現れるのか。特に注目したいのが、ミニ四駆のコースにおける最大の難所とも言える「レーンチェンジ(LC)」です。これは、コースのレーンを入れ替えるための立体セクションで、マシンがジャンプするようにして通過するため、バランスを崩してコースアウトしやすいポイントです。今回のリアヘビー化と重量増は、このLCでの安定性向上に大きく貢献してくれる可能性があります。車体が重く、後ろがしっかりしていることで、ジャンプ中の姿勢が乱れにくく、着地もピタッと決まりやすくなる、という狙いです。一方で、懸念材料はやはり再加速。LCやコーナーの立ち上がりで一瞬スピードが落ちた後、再びトップスピードに乗るまでの時間が、重量増によってわずかに長くなるかもしれません。この安定性アップというメリットが、加速のデメリットを上回ってくれるのか。それが、総合的なタイムを左右する最大の鍵となりそうです。
ちょっと寄り道、ミニ四駆の専門用語と懐かしの話
ミニ四駆の世界には、独特の専門用語がたくさんあります。そして、その長い歴史の中には、今では見かけなくなった懐かしいパーツや、世代を超えて語り継がれる逸話も。ここでは少しブレイクタイムとして、今回のカスタマイズに関連する用語の解説や、ぼく自身の思い出話を少しだけさせてください。こういった知識の引き出しが増えると、ミニ四駆がもっともっと面白くなりますよ。
「小径」は “こけい”? “しょうけい”? 読み方の正解を探る
今回交換したホイールは、直径が比較的小さな「小径(しょうけい)」サイズに分類されます。ところで、この「小径」という言葉、あなたは何と読んでいますか?ぼくは長年、当たり前のように「こけい」と読んでいました。周りの友人もみんなそうでしたし、それが共通言語だと思っていたのです。しかし、今回この記事を書くにあたって改めて調べてみたところ、どうやら「しょうけい」と読むのがより適切らしい、という結論に達しました。これにはいくつかの理由があります。
- タミヤの公式英語表記
- タミヤの製品パッケージを見ると、「小径」には “SMALL DIA.” と英語が併記されています。この “DIA.” は “Diameter”、つまり「直径」の略です。
- 国語的な整合性
- 「径」という漢字を「直径」や「半径」の意味で使う場合、その読みは「ケイ」です。そして、「小」の音読みは「ショウ」。つまり、音読み同士で組み合わせると「ショウケイ」となります。
- 対義語との関係
- 「小径」の対義語である「大径」は、誰もが「だいけい」と読みますよね。「だい(音読み)+けい(音読み)」で構成されているので、それと対をなす「小径」も「しょう(音読み)+けい(音読み)」と揃えるのが自然だ、というわけです。
もちろん、会話の中で「こけい」と言っても全く問題なく通じますし、それが間違いというわけではありません。ただ、こうした言葉の背景を知ると、なんだか面白いですよね。この記事では、こうした背景を尊重して「小径(しょうけい)」という読みに統一していきたいと思います。
覚えていますか?あの頃の「ショック吸収タイヤ」
タイヤの話が出たので、もう一つ懐かしい話を。第1次ブームの頃、通常のスリックタイヤとは別に、「ショック吸収タイヤ」というものが存在したのを覚えている方はいらっしゃいますか?その名の通り、少し柔らかい特殊なゴム素材でできていて、ジャンプの着地などで衝撃を吸収し、マシンが跳ねにくくなる、という画期的なタイヤでした。ぼくも当時、アバンテJr.に履かせて、その効果に感動した記憶があります。今では残念ながら絶版となってしまい、公式のラインナップにはありません。しかし、そのコンセプトは形を変えて受け継がれています。現在では「HG 低反発スポンジタイヤ」といった製品があり、こちらはスポンジ素材を使いながらも、「低反発」という特性で衝撃吸収性をうたっています。当時は「軽量・高グリップ」が主な役割だったスポンジタイヤが、時を経て「衝撃吸収」という役割も担うようになった。素材はゴムからスポンジへと変わりましたが、レーサーたちがマシンの跳ねに悩み、それを解決しようとしてきた歴史が、こんなところからも垣間見えますね。(参考:株式会社タミヤ TAMIYA, INC.)
タイヤの種類とそれぞれの役割
ミニ四駆のタイヤには、様々なサイズや形状があり、それぞれに得意なこと、不得意なことがあります。セッティングの基本として、代表的なものの特徴を簡単に表にまとめてみました。
名称 | 外径(代表値) | 特徴 | 得意なこと |
小径(しょうけい) | 24mm 〜 26mm | 直径が小さい。重心が低くなる。 | 加速性能、コーナリング、安定性 |
大径(だいけい) | 31mm 〜 35mm | 直径が大きい。最高速が伸びやすい。 | 最高速、段差の走破性 |
ローハイト | 26mm / 31mm | タイヤが薄い(ハイトが低い)。 | コーナリング、安定性 |
バレル | – | 断面が樽(たる)形。接地面積が小さい。 | コーナーでの抵抗減、最高速 |
※外径や幅は、タミヤの公認競技会規則で定められた範囲内(径22〜35mm、幅8〜26mm)である必要があります。
今回ぼくたちが使っているのは「小径ローハイト」に近いサイズのタイヤです。加速と安定性を重視した選択と言えますね。これらの組み合わせ次第で、マシンの性格は大きく変わります。自分の走らせたいスタイルや、コースのレイアウトに合わせて最適なものを選ぶのが、タイヤセッティングの醍醐味です。
いざ、運命のシェイクダウンへ
さて、パーツの分析も、組み込みも完了しました。目の前には、新しい足元を得て、静かに出番を待つゴールドアバンテがいます。以前とは明らかに違う、重厚感と凄みをまとっているように見えます。理論上は「安定性が増している」はず。しかし、ミニ四駆は実際に走らせてみなければわからないことばかりです。ここからが、本当の始まり。果たして、このマシンはぼくの期待に応えてくれる走りを見せてくれるのでしょうか。
テストコースは定番のオーバルサーキット
今回の走行テストの舞台となるのは、タミヤから発売されている「ミニ四駆 オーバルホームサーキット」です。2レーンのコンパクトなコースでありながら、カーブ、ストレート、そして立体レーンチェンジと、ミニ四駆の基本要素がすべて詰まっています。特に、この立体レーンチェンジはマシンの総合的なバランスが試されるセクション。ここを安定してクリアできるかどうかは、セッティングの指標として非常に重要です。換装前の青いホイールの状態では、このコースを全く問題なく周回できていました。この「完走できる」という安心感をベースに、新しいホイールがどれだけタイムに、そして走りの質に貢献してくれるのか。それを確かめるには、まさにうってつけの場所と言えるでしょう。
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安定から一歩先へ、このカスタムの狙い
今回のカスタマイズの目的を改めて言葉にするなら、「安定性の質的向上」です。ただコースアウトしない、というレベルから一歩進んで、どんな状況でも姿勢を乱さない、どっしりとした走りを目指しました。特に、リアヘビー化したことによるトラクション性能の向上は、モーターのパワーを余すことなく路面に伝え、ブレのない直線加速を生み出してくれるはずです。そして、LCでの収まりの良さ。ここでタイムをロスしないだけでなく、スムーズに次のストレートへ繋げることで、ラップタイムの短縮を狙います。見た目のかっこよさから始まった今回の挑戦ですが、今では明確な性能向上の目標がそこにあります。公式の競技会に出ることを考えれば、タイムが遅くなるような改造は許されません。見た目と速さ、その両立。それこそが、ぼくが目指すミニ四駆の理想形なのです。
果たしてタイムは、走りはどう変わるのか
これから、電池をセットして、スイッチを入れる。その瞬間に、これまでの考察や期待が、現実の走りとなって現れます。モーターの回転数が上がり、タイヤが地面を蹴る。スタートゲートを飛び出したゴールドアバンテは、一体どんな表情を見せてくれるのでしょうか。コーナーでの食いつきは?LCでの挙動は?そして、ゴールラインを駆け抜けるタイムは?重量増による加速への影響は、果たして体感できるレベルなのか。それとも、安定性の向上というメリットがすべてを凌駕するのか。考えれば考えるほど、胸が高鳴ります。このドキドキ感こそ、ミニ四駆の最大の魅力なのかもしれません。さあ、すべての準備は整いました。息子の、そしてぼくの夢を乗せたゴールドアバンテの、新たな挑戦が始まります。その走りの結果については、また次の機会に詳しくお伝えできればと思います。
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