「ワイヤレスHDMI ゲーム 遅延」で検索してこのページに来た方は、たぶんぼくと同じ悩みを抱えていると思います。大画面のテレビにゲームの映像を映したいけれど、そのたびにHDMIケーブルを引っぱり出して這わせるのが面倒で手が出ない、無線化できたら楽なんだろうけど遅延でカクつくという話をよく見かけます。ぼくは1年前にエレコムのワイヤレスHDMIを調べて「0.2秒の遅延はゲームには向かない」と結論を出した張本人です。あれから1年、セール記事で「0.03秒超低遅延」をうたう5,699円の製品を見つけたので、今度こそSteamのトラックシミュレーターで使えるのか、もう一度調べ直してみました。結論を先に言うと、ぼくはこの製品をまだ買っていません。ここに書くのはレビューを読み込んで分かったことと、ぼく自身の環境の話です。
「ワイヤレスHDMI ゲーム 遅延」が気になっている、ぼくの部屋の事情
まずはぼくの環境を正直に書いておきます。リビングにWindowsのノートパソコンがあって、同じ部屋に60インチのAQUOSが置いてあります。ただ、このAQUOSは今のところ普通にテレビとして見ているだけで、パソコンの映像を映す運用はしていません。ノートパソコンなので持ち運んでケーブルをつなげば映せるはずなのですが、あの大画面にトラックシミュレーターを映せたら楽しそうだと思いつつ、そのたびにHDMIケーブルを出してきて這わせて、終わったら片づける手間を考えると面倒で、結局一度もつないだことがありません。
Steamで遊んでいるのは「ゆっくり走る」トラックシミュレーター
ぼくがこのPCでよく遊んでいるのは、Steamのトラックシミュレーターです。GTAのような機敏な操作が必要なゲームではなく、大きなトラックをのんびり走らせるタイプなので、多少のラグがあっても許容できるだろうという自己認識があります。ハンドル・アクセル・ブレーキがセットになったハンドルコントローラー「Thrustmaster T128」も楽天で買って、すでに使っています。ぼくが使っているのはこちらの国内正規品です。ハンドルは有線でPCにつながっているので、後で書くとおり、ワイヤレスHDMIの遅延はあくまで映像側にしか関わりません。
Forza Horizon 6は持っているけれど、今は遊べていません
正直に書くと、Forza Horizon 6も持っているのですが、こちらはPCのスペックが足りず、途中で落ちてしまってあまり遊べていません。PCの重さの見極め方については、以前タスクマネージャとリソースモニターでボトルネックを見抜く記事を書いたことがあるので、気になる方はそちらも参考にしてください。今回無線化したいのは、あくまでのんびり走るトラックシミュレーターのほうです。
1年前、エレコムのワイヤレスHDMIを「ゲームには向かない」と判定した理由
1年前に書いた記事では、エレコムの「DH-CW4K110BK」というワイヤレスHDMIを取り上げました。フルHD・最大30m・5GHz帯で、遅延は0.2秒(200ms)。この数字を見て、記事では「0.2秒の遅延はゲームには向かない」とはっきり結論づけています。日本メーカーという信頼感で選んだ製品でしたが、遅延の数字だけはどうにもならなかった、というのがあのときの話です。
1年経っても値段は下がらず、後継機にはレビューが53件
今回あらためて価格.comを見てみると、DH-CW4K110BKの最安値は12,700円で、1年前からほとんど値下がりしていませんでした。価格.comのレビューは今も0件のままでした。一方、後継の型番「DH-CW4K110EBK」を2026-08-07にAmazonで調べたところ、星3.8・53件のレビューが付いていて、直近1か月で200点以上購入されていました(検索結果がドル建て表示だったため、日本円の価格はこの記事では確認できていません)。ただしこれは価格.comのレビュー数とAmazonのレビュー数という別々の場所の数字なので、単純に「増えた」とは比べられません。少なくとも「Amazon上で実際に使われている実績がある」という点では、価格.comにレビューが1件も無い本体よりは判断材料が増えたと言えます。
価格は倍以上、それでも遅延の数字は変わっていません
DH-CW4K110BKの遅延0.2秒という数字自体は、後継機になっても更新されている情報を見つけられませんでした。価格は12,700円のままで、今回調べたAOTOLOの5,699円と比べると倍以上です。この価格差と遅延の数字だけを見ると、今回のAOTOLOのほうが気になってくる、というのが正直なところです。エレコムのワイヤレスHDMIを詳しく調べた1年前の記事はこちらです。
1年前はこの数字だけで「向かない」と判断しましたが、今回はレビューの中身まで踏み込んで、同じ問いをもう一度検討してみます。
今回見つけたAOTOLOは、遅延0.03秒をうたう5,699円の格安機
きっかけは、Lifehackerのセール記事でした。AOTOLOという「ワイヤレスHDMI送受信機セット」が、5,699円(43%オフ)で紹介されていたのです。宣伝文句は「0.03秒超低遅延/1080P@60Hz/5G+2.4G/100m安定転送/日本技適認証取得」。プラグ&プレイでアプリ不要、映像と音声を同時に送れるとのことでした。0.03秒(30ms)は60fpsの映像でおよそ2フレーム分にあたる計算で、もし宣伝どおりなら1年前のエレコム機(0.2秒)とは桁が1つ違います。
商品ページの中で「0.03秒」と「0.01秒」が食い違っている
ただ、正直に書いておきたい引っかかりがあります。AmazonのAOTOLO商品ページを見ると、商品タイトルには「0.03秒超低遅延」と書かれているのに、同じページの説明文の注記には「0.01秒の超低遅延(障害物のないオープンな環境で最大100m、実際は環境により異なる)」とあり、数字が食い違っていました。どちらが正しい数字なのかは、販売元のページの中だけでは判断できません。宣伝文句の数字を鵜呑みにはできないという前提で、この先はレビューの中身を見ていきます。
星4.1・165件、1年前のエレコム機とは違って実際に使われている
AOTOLOのレビューは星4.1で165件(星5=55%/星4=19%/星3=8%/星2=6%/星1=12%)付いていました。技適番号は210-208820です。技適番号は総務省の技術基準適合証明等を受けた機器の検索サイトで誰でも照合できるので、無線機器を選ぶときは番号の有無だけでなく、実際に検索して確かめる習慣をつけておくと安心です。エレコムのDH-CW4K110BKは価格.comのレビューが今も0件のままなので、少なくとも「実際に使った人の声がある」という点では、今回のほうが判断材料が多いと言えます。
レビューを読み込むと、遅延の評価は用途によってはっきり分かれていました
星4.1・165件のレビューを、遅延に関する部分だけ集めて読み込んでみました。良い評価と悪い評価が両方あるだけでなく、「どんな用途で使ったか」によってきれいに評価が分かれているのが分かりました。
マウスやキー入力を伴う操作には「向かない」という声
もっとも参考にされたレビュー(18人が「役に立った」と評価)には、こう書かれていました。「実際に接続出来た時の動作は、ワンテンポ遅れる感じです(2画面使用時にちょっとズレが気になる)。HDMIケーブル接続されたディスプレイとの時間差がある為、ゲームなどに利用するのは厳しいです。マウスやキー入力の時差は致命的なので、リアルタイムのレスポンスを求める作業、ゲームには向きません」。細かい操作を素早く反映させたいゲームには厳しい、という評価です。
動画視聴や、レスポンスが重要でない用途では「問題なく使える」という声
一方で、自転車トレーニングゲーム「Zwift」をデスクトップPCからテレビへつないで使っている方のレビューには、こうありました。「遅延は測ってはいないので流石に30ms以内かはわからないですがUI操作に対しては若干遅れている感は感じられます(DisplayPort接続のモニタとミラー状態60Hz駆動で比較すると結構顕著です)が、動画を流すなり、レスポンスがそこまで重要じゃないシーンでは問題なく利用出来ます(レース参加だとわかりませんがトレーニングのみのZwift利用では問題を感じない程度だとおもいます)」。プロジェクターでPS5をつないでいる方も「若干遅延しますが自分は動画視聴メインなので特に問題ありませんでした」と書いていて、動画視聴や、瞬間的な反応を必要としない使い方であれば大きな問題にはならないという声が複数ありました。
トラックシミュレーターそのものの実例は、レビューに1件もありませんでした
ここまで読んで分かるのは、「マウス・キーボードで細かく操作する用途は厳しい」「映像を見る・連続的に操作する用途は問題ない」という規則性です。ぼくが遊んでいるトラックシミュレーターは、ハンドルでの連続的な操作が中心で、マウスのポインタを正確に合わせるような操作ではありません。Zwiftのレビューが一番近い事例だとは思いますが、正直に書くと、トラックシミュレーターを実際にこの製品でプレイしたというレビューは、探した中に1件もありませんでした。だから「たぶん大丈夫そうだ」というところまでしか、今のぼくには言えません。
もう一つ、ぼくの環境ならではの整理も書いておきます。ぼくのハンドルコントローラー「Thrustmaster T128」は、無線ではなく有線でPCにつながっています。つまりワイヤレスHDMIが挟まるのは、PCからテレビへ向かう映像の側だけで、ハンドルを切る操作そのものが無線を経由して遅れるわけではありません。レビューにあった「マウスやキー入力の時差は致命的」は、画面上のカーソルを見ながら指先で位置を正確に合わせる操作だからこそ致命的なのであって、ハンドルで車体を走らせる操作とは条件が違うと考えています。ただし、これは操作の入力が遅れないという話であって、正直に書くと、映像そのものが遅れる以上、車体の挙動を画面で見て反応する分については、多少なりとも遅れることになるはずです。
買う前に知っておきたい、遅延以外の注意点
遅延の話とは別に、レビューを読んでいて気になった点もいくつかありました。星1のレビューは12%あり、良いことばかりが書かれているわけではありません。ここも正直に紹介しておきます。
「1か月使ったら映像が5〜10秒遅れるようになった」という報告
2026年8月14日の星1レビューには、こう書かれていました。「現在使用中でしたが、突然 音と映像の調子が不安定になりました。音が先に(リアルタイム)来るのですが、映像が5〜10秒遅れてくるようになりました。加えて映像の色がおかしいです。(DVDレコーダーとプロジェクタ間での接続)1か月過ぎてのことで返品、交換ができないとのこと」。ずっと安定して使えるとは限らない、という報告です。返品期間が過ぎてから不具合が出ると交換してもらえない点も含めて、知っておいたほうがよさそうです。
本体はかなり発熱するという声。受信機側の電源にも注意
1階から2階へ映像を送っているという方のレビューには、「画像は超安定だが、本体はかなり発熱しますので、22×70mmのヒートシンクを購入して貼り付けてみました。10時間程連続稼働させてみましたが実に安定」とありました。長時間使う場合は発熱への対策をしている人がいる、ということです。また複数のレビューで共通して指摘されていたのが、受信機(テレビにつなぐ側)は5V/2A以上のACアダプターが必須という点でした。USB給電で済ませようとすると電力が足りない可能性があるので、この条件は事前に確認しておいたほうがよさそうです。ぼくのAQUOSはこれまで一度もパソコンとつないだことがないので、受信機の電源をどこから取るかも、買う前に確かめておく必要がありそうです。レビューにあった「22×70mm」とほぼ同じサイズのヒートシンクはこちらです。発熱が気になる方は、あらかじめ用意しておくと安心材料になりそうです。
発熱や電源まわりの注意点を押さえたところで、次は値段と実績の見え方について、楽天とAmazonを比較した話に移ります。
楽天とAmazonで、市場の様子がまったく違いました
今回いちばん驚いたのが、同じ5,000〜6,000円台のワイヤレスHDMIでも、楽天とAmazonで市場の様子がまったく違ったことです。ワイヤレスHDMIも結局は無線通信の一種なので、家の無線環境そのものが不安定だと元も子もありません。以前Wi-Fi 6ルーターについて書いた記事でも触れましたが、電波が飛びにくい家の作りだと、どんな製品を選んでも安定は望みにくいです。
楽天の5,000〜6,000円帯は、同じ商品説明文の店舗が10店舗以上並んでいる
楽天で「30m安定転送距離 1080P/5Ghz WIFI&設定不要 映像音声同期出力【日本技適認証済】」というまったく同じ商品説明文の製品を探すと、店名だけ変えて5,733円〜6,239円で10店舗以上(ニコラショップ、stellarshop、うたかた雑貨など)から出品されていました。ところが、そのどの店舗もレビューは0件でした。同じ形の「50m安定転送距離」タイプの5,380円品も、レビューは0〜1件です。安さだけで選ぶと、実際に使った人の声がまったく無い製品を買うことになりそうです。
Amazonには、同じ価格帯でもレビューが積み上がっている製品がある
一方Amazonには、今回取り上げているAOTOLO(5,699円・165件)のほかに、「2WAY接続で対応率99%」をうたう6,999円の製品があり、こちらは星4.0・143件のレビューが付いていました。直近1か月で200点以上購入されているとのことです。同じ価格帯でも、Amazonのほうがレビューの積み上がった製品を選びやすい、というのが今回調べて分かったことでした。
もう少し値段を出せるなら、楽天にもレビューが豊富な製品があります
価格を1万円台まで上げると、楽天にも実績のある製品が見つかりました。「llano S850」という製品はAmazon・楽天のどちらでも11,990円で、Amazonでは星3.6・460件(ベストセラー1位・AVアンプ・AVレシーバー部門)、楽天でも複数店舗でレビューが積み上がっています(星4.29・303件の店舗など)。安さより実績を優先したい方には、こちらも選択肢に入ってくると思います。
そもそも無線化をあきらめて、光ファイバーHDMIケーブルで距離を伸ばす手もあります
ここまで無線の製品ばかり見てきましたが、「遅延が怖いなら、そもそも無線にこだわらなくてもいいのでは」という選択肢も正直に書いておきます。HDMIケーブルは長くなるほど信号が減衰しますが、光ファイバーを使ったHDMIケーブルなら、有線のまま10m以上、製品によっては数十mまで距離を伸ばせます。無線を経由しない分、今回取り上げてきた遅延の話そのものが発生しません。ぼくの場合はその取り回しが面倒で手が出なかったので選びませんが、配線の取り回しさえ我慢できれば、遅延を気にしたくない人にとってはこちらのほうが確実な選択です。今回見つけたのは4K/60Hz・18Gbps対応で10m版のこちらの製品で、価格帯は今回のAOTOLOと近く、レビューも付いています。
まとめ:まだ買っていませんが、次はこれを試したいと思います
「ワイヤレスHDMI ゲーム 遅延」を軸に1年前の記事を見直してみて分かったのは、遅延の数字だけでなく、レビューの中身と自分の用途を照らし合わせないと判断できないということでした。1年前に「0.2秒の遅延はゲームには向かない」と結論づけたエレコムのワイヤレスHDMIから1年、5,699円のAOTOLOは宣伝値どおりなら遅延が桁違いに縮んでいます。ただし宣伝文句自体に「0.03秒」と「0.01秒」という食い違いがあり、鵜呑みにはできません。レビューを読み込むと、マウス・キーボードでの細かい操作には厳しいという声がある一方、動画視聴や連続的な操作なら問題ないという声もあり、ぼくが遊んでいるトラックシミュレーターに近い事例(Zwiftでのトレーニング利用)は「問題を感じない程度」という評価でした。それでもトラックシミュレーターそのものの実例はレビューに見つからなかったので、確実に大丈夫とは言い切れません。
正直に書いておくと、ぼくはこの製品をまだ買っていません。星1レビューにあった「1か月で映像が遅れ始めた」という報告や、発熱・電源要件も気になっていて、もう少し情報を集めてから決めたいと思っています。今回取り上げたAOTOLOのワイヤレスHDMI送受信機セットの商品ページはこちらです。実際に手に入れる機会があれば、そのときはあらためて自分の目でトラックシミュレーターが遊べるかどうか、確かめた感想を書きたいです。


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