度付きのスマートグラスは、カメラなしを選べば安心なのでしょうか。強い近視でメガネが手放せないぼくは、ここ最近ずっとこれを考えていました。きっかけは、目の前に文字が出るのにカメラを積んでいないEven G2という機種を知ったことです。
先にお断りしておきます。ぼくはこの記事を書いている時点で、Even G2を買っていません。ですのでこれは開封レビューではなくて、買う前に本気で調べた記録です。かけ心地や写りの話は一切出てきませんので、そこを期待して来てくださった方は本当にごめんなさい!
そのかわり、度の強いメガネと長年つき合ってきた人間として、調べていていちばん引っかかった3つのことを先にお伝えします。カメラなしでもマイクは残るということ。度付きにすると本体代とは別にお金がかかるということ。そして、値段を決めているのはカメラではないということ。この3つです。
度付きスマートグラスでカメラなしを選ぶ前に、ぼくの結論から言います
「カメラが付いていないなら、周りに気を遣わなくて済むし、職場にも持っていけるはず」。ぼくは最初、完全にそう思っていました。でも調べるうちに、その前提がけっこう危ういと分かってきたんです。
カメラなしでも「マイク」は残ります。禁止される場所では扱いは同じです
カメラなしを売りにしているEven G2にも、マイクは載っています。しかも1つや2つではなく複数です。会話をその場で文字にする機能があるので、当然といえば当然ですよね。
ここが落とし穴でした。日本で問題になりそうな場面を見ていくと、映画館の法律と会社のルールは録音も撮影と同じ列で禁止していて、試験にいたっては機器を身に着けているだけでアウトです。「カメラなしだから持ち込んでいい」という理屈は、思ったより通りません。
度付きにすると本体代とは別にお金がかかります
メガネを新調したことがある方なら分かってもらえると思うのですが、フレームの値段だけ見て予算を組むと、必ず後から効いてきますよね。レンズの追加料金です。ぼくは度がきついので、薄型にすると毎回そこそこ持っていかれます。
スマートグラスも同じで、度付きにするなら本体代に上乗せがあります。しかも量販店の店頭に並んでいるのは度が入っていないモデルです。度を入れるとなると扱うお店が限られます。ここが、都市部から離れて暮らす人にはいちばんの壁になります。
値段を決めているのはカメラではなく「目の前に文字が出る画面」です
そして、調べていていちばん「なるほど!」となったのがここでした。日本で正規に買える機種の値段を並べると、カメラの有無では値段が説明できません。きれいに分かれるのは、目の前に文字が出る画面が付いているかどうかなんです。
画面が付いていないモデルは7万円台から。画面が付いているモデルは10万円前後。カメラはどちらのグループにも混ざっていて、値段と対応していません。この見方が分かると、予算の立て方が一気にラクになりますよ。

そもそもカメラなしのスマートグラスって何ができるの?
結論を先に書いてしまいましたので、ここからは順番に見ていきます。まず「カメラが付いていないスマートグラスって、何をする機械なの?」というところからです。
目の前に文字が出る=通知・ナビ・原稿の読み上げ表示
Even G2のようなカメラなしのモデルは、レンズの一部に小さく文字を映します。時刻、通知、その日の予定、気温といったものですね。目の前にうっすら文字が浮かぶ、と思ってもらえれば近いです。
使い道としてよく挙がるのが3つあります。1つめは道案内で、曲がる場所が視界に出ます。2つめはテレプロンプターで、話す原稿を目の前に流せます。3つめはメモで、声で言ったことをその場で残せます。
会話をその場で文字にする(翻訳・会話の文字起こし)
もう一つの目玉が、会話の文字起こしと翻訳です。相手の話した言葉が字幕のように目の前に出ます。日本語にも対応していますし、会話全体を文字にして、あとからアプリで読み返せる機能もあります。
ここで混同しやすいところを整理させてください。翻訳には2種類あります。看板やメニューを「目で読んで訳す」翻訳と、相手の話す言葉を「耳で聞いて訳す」翻訳です。前者はカメラが要りますが、後者はマイクだけでできます。カメラなしでできるのは後者だけですので、旅行でメニューを訳す目的で買うとがっかりします。
できないことのほうが多いです(写真も動画も音楽も通話もできません)
正直に書きます。カメラなしのモデルは、できないことのほうが圧倒的に多いです。写真も動画も撮れませんし、Even G2はスピーカーも積んでいないので音楽も聴けず、通話もできません。音声アシスタントの返事も、目の前の文字で返ってくるだけです。
「スマートグラス=写真が撮れて音楽が聴けるメガネ」というイメージで来ると、ここで完全に期待が外れます。ぼくもここを読んだときは正直かなり驚きました。
スマホが必須。単体では動きません
それから大事な前提です。スマートグラス単体では動きません。スマホとBluetoothでつないで、スマホ側のアプリが頭脳を担当します。iPhoneでもAndroidでも使えますが、スマホを家に置いてきたらただのメガネです。
ということは、スマホのバッテリーも食います。つなぎっぱなしになるので、外出時の電池残量はいままでより気にすることになりそうです。持たせ方は別記事にまとめてありますので、こちらもどうぞ!

度付き(視力矯正)は本当に使えるのか
さて、ぼくにとっての本題です。度が入らないなら、そもそも検討の土俵に上がりません。ここは念入りに調べました。
対応できる度数と、乱視の扱い
公開されている情報では、対応できる度数の幅はかなり広く取られています。近視も遠視も乱視も、単焦点レンズなら対応できるとされていて、レンズの薄さも数種類から選べます。
ぼくのように度が強くても、単焦点でよければ範囲に入りそうで、正直ほっとしました。ただしこれは公式サイトを直接開いて確認できた情報ではなく、販売店や紹介記事から拾ったものです。買う前にお店で必ず確認してくださいね。
遠近両用(累進)はオンラインでは買えません
ここは要注意です。遠近両用、いわゆる累進レンズは、ネットの注文では作れないとされています。実際に測ってもらう必要があるので、対応しているお店でないと調製できません。老眼が入ってきている世代の方は、ここでいったん止まると思います。ぼくもいずれ他人事ではなくなる話です。
量販店の店頭に並んでいるのは度なし。地方に住んでいるとここが壁になります
2026年4月から、大手の家電量販店でもEven G2が買えるようになりました。ただし店頭で売られているのは度が入っていないモデルです。度を入れたい場合は、買ったあとに対応できるメガネ店へ相談する流れになります。
その取り扱い店が、まだ限られています。度付きの注文や試着までできるお店として名前が挙がっているのはJUN GINZAさん(銀座とヒルトンプラザ名古屋)です。実機を触れる量販店も、主要都市の一部の店舗にとどまっています。
ぼくは埼玉ですので銀座なら行けなくはありません。でも「試着してから決めたい」という当たり前のことのために都心まで出る必要があります。地方にお住まいだと、ここで現実的に詰みかねません。
度付きにするといくら上乗せになるか
度付きレンズの追加は、公開されている情報では26,800円です(2026年7月25日時点。価格は変わることがありますので、買う前に必ずお店で確認してください)。本体が99,800円ですので、合わせると12万円台に入ってきます。
なお海外から個人輸入する手もありますが、いまは国内で正規に買えて保証も付きますので、無理に輸入する理由はありません。
度付きで現実的に選べるのは、いまのところこの辺です
「度付きで作れる」とはっきり書かれている商品を探すと、いちばん数が多いのはRay-Ban Metaでした。カメラは付いていますが、純正の度付きレンズを入れられる出品が並んでいます。ぼくの視力の悩みに直接応えてくれるのは、いまのところここです。
カメラなしのEven G2で度を入れたい場合は、まず本体を買って、そのあと対応しているメガネ店(先ほど挙げたJUN GINZAさんなど)へ相談する流れになりますので、そこは覚えておいてくださいね。
まずはメガネ型のフレームです。サングラス型より普段使いしやすい形で、純正の度付きレンズを入れられると明記されています。ふだんメガネをかけている人がそのまま置き換えるならこちらですね。
次にサングラス型です。同じく純正の度付きレンズに対応と書かれていて、価格は少し抑えめです。屋外での使用が中心の方が候補になります。
もう一つ、映像を見るタイプのARグラスにも度付きの受け皿があります。XREALのレンズフレームで、これ自体は枠だけですので、メガネ屋さんで作った度付きレンズを入れる形です。本体とは別売りですので、そこだけ気をつけてくださいね。
メガネ型のガジェットという意味では、ぼくは以前JINS ASSISTという「頭で動かすマウス」を買って記事にしています。顔に載せる道具はスペック表だけでは分かりません。

値段を決めているのはカメラじゃない。画面ありは10万円前後、画面なしは7万円台
ここが、この記事でいちばんお伝えしたかったところです。「カメラなしのほうが部品が少ないから安いはず」と、ぼくも思っていました。でも日本で正規に買える機種を並べると、まったくそうなっていません。
主要機種の早見表(画面/カメラ/スピーカー/価格)
ぼくのほうで表に起こしてみました。公式が出している資料ではなく、ぼくが調べた内容をまとめたものですので、その前提で見てくださいね。

画面なし・カメラありは7万円前後のグループ
Ray-Ban MetaやOakley Metaは、日本では2026年5月21日に発売されました。価格はRay-Ban Metaが73,700円から、Oakley Meta HSTNが77,220円からです。上の表に載せたMetaの2機種の価格は、Meta公式ページの表記です(2026年7月25日時点。買う前にリンク先で確認してください)。
Meta公式|Ray-Ban MetaとOakley Metaの日本発売に関する発表
そして大事なのが、この公式ページの本文に「ディスプレイ」や「画面」の話が一切出てこないことです。書かれているのはカメラとオープンイヤースピーカーだけ。つまりRay-Ban Metaは、目の前に文字が出るタイプではなく、撮る・聴く・話しかけるための道具なんですね。Metaの画面付きモデル(Meta Ray-Ban Display)は、日本では未発売です。
まずは7万円前後で試したい、写真も撮りたい、音楽も聴きたいなら、素直にこちらです。ぼくは以前、MetaのスマートグラスとNeural Bandの組み合わせをAIと議論した記事を書きました。

その中でいちばん手を出しやすいのが、標準的なウェイファーラー型です。度付きではありませんが、スマートグラスが生活に合うかを試すには十分だと思います。楽天では型番や在庫によって、公式より安い出品もありますよ。
画面あり・カメラなしのEven G2は10万円弱。ただし本体は楽天にありません
一方のEven G2は99,800円です(2026年7月25日時点。価格は変わることがありますので、買う前に必ず販売店で確認してください)。重さは約36グラムで普通のメガネとそう変わりませんが、公表値は資料によって少し幅があります。電池は1回の充電で2日ほど持つとされ、画面付きとしては優秀です。
ぼくは今回この公式サイトを直接開いて確認できませんでした。細かい数字は「こう書かれた資料が複数ある」という以上のことは言えません。買う前にご自身で確認してくださいね。
それともう一つ。Even G2の本体は、いま楽天市場には出ていません。あるのは付属品だけです。まずは持ち運び用のクリップとポーチのセットで、10万円のメガネを裸で鞄に放り込むのは怖いので押さえておきたいところですね。これは角型Bのグリーン用です。形や色が違う方は、同じシリーズの別の型を選んでください。
もう一つが、指輪型の操作デバイスR1のサイジングキットです。これは指のサイズを測るためのキットで、R1本体は別売の41,800円です(2026年7月25日時点。価格は変わることがありますので、買う前に必ず販売店で確認してください)。指輪はサイズを外すと使えませんので、本体と一緒に買うなら先にこれで測るのが安全です。
じつはもう一種類あります。映像を見るためのARグラス
ここまでひとくくりに書いてきましたが、別の系統がもう一つあります。目の前に大画面を映して映画やゲームを見るためのARグラスで、価格は6万円台が中心です。「大きな画面がほしい」のか「日常の通知を見たい」のかで選ぶものがまるっきり変わりますので、混ぜて検討すると迷子になります。
まずはXREAL Oneの国内正規品です。ARグラスの定番といっていい存在で、情報も比較的そろっています。
次にRokid Maxです。上の早見表に載っているRokidのスマートAIグラスとは別の、映像を見ることに振ったモデルです。価格は6万円台で、さきほどのXREAL Oneと同じくらいですね。
3つめがVITURE Lumaです。近視の度合いを本体側で調整できる仕組みを持っていて、メガネをかけたままだと窮屈になりがちなARグラスの弱点に手を打っています。度が入っている人間にはありがたい設計です。
結局いくら用意すればいいのか(予算別の目安)
予算にまとめます。撮る・聴く・話しかけるだけなら7万円台から。文字を出したいなら10万円前後。度付きを足すならさらに数万円の上乗せです。映像を見るARグラスが目的なら6万円台から。ぼくの場合、度付きで画面ありだと12万円を超えます。ここが正直いちばん重たいところです。
職場・学校・お店…日本の生活シーン別、着けていい場所とダメな場所
ここからが、ぼくがいちばん時間をかけて調べたところです。買う買わないの前に、そもそも日常のどこで着けていいのかが分からないと、10万円出す気になれませんでした。
先に大事な考え方を書いておきます。この話は二段構えです。一段目が、法律で罰せられる可能性がある行為。二段目が、法律には触れなくても会社や施設のルールで禁止されている行為です。二段目でも警察に捕まるわけではありませんが、退場を求められたり賠償を請求されたりする可能性はあります。「法律で罰せられないなら何をしてもいい」という話ではないんですね。
一段目の法律のほうも、少しだけ具体的に書いておきます。日本には、性的な部位や下着を無断で撮る行為を罰する法律があります。対象は性的な撮影と、浴場や更衣室のような普通は裸でいる場所に強く寄っていますので、街を歩く人が写り込むこと全般を直接罰するものではないんですね。

会社・オフィス:就業規則に書いていなくても、会社は録音を禁止できます
まず職場です。よくある誤解が「就業規則に書いていないから大丈夫」というものですが、これは通りません。会社は、業務命令の権限と建物を管理する権限にもとづいて、無断の録音を禁止できるとされています。
そして繰り返しになりますが、カメラなしのモデルにもマイクは載っています。「カメラがないから持ち込んでいい」という理屈が、この場面でいちばん通りません。情報漏洩を防ぐ目的なら、スマートウォッチのような機器の持ち込みも制限できるという見解があります。
ただ、ハラスメントの被害を証明するための録音まで一律に禁じることはできないという見方もあります。心配なら総務や上司に先に聞くのがいちばん早いですよ。
学校・入試・資格試験:「身に着けているだけ」でアウトになります
次に試験です。大学入試センターは、共通テストの受験案内で、試験時間中に使えないものとしてスマートウォッチやスマートグラスなどを名指しで挙げています。しかも「使ったら」ではなく、身に着けている、手に持っているだけで不正行為とみなされる可能性があります。
ITmedia|共通テストでスマートグラス等の扱いが明記されたことを伝える記事
背景として、過去に入試でスマートグラスを使った不正が発覚した例があり、それが受験ルールの厳格化につながっています。スマートウォッチも同じ扱いで並んでいるのがポイントで、カメラの有無を問題にしていないんですね。「カメラなしだから大丈夫」がいちばん通らない場面です。
映画館:録音も法律で禁止されています。カメラなしでも引っかかります
映画館は法律の話です。映画の盗撮を防ぐ法律があって、公開から一定の期間内の作品は、個人的に楽しむ目的でも無断の撮影・録音が著作権の侵害にあたるとされ、重い罰則も定められています。
注目してほしいのが、撮影だけでなく録音も対象になっている点です。館内で文字起こし機能を動かせば、それは録音です。カメラを外したことは免罪符になりません。素直に外して鞄にしまいましょう。
病院・ジム・温泉・美術館:法律より先に「そのお店のルール」が来ます
ここからは二段目の話です。お店や施設の管理者は、法令に反しない範囲で撮影や録音を禁止できます。無視して居座れば退去を求められますし、賠償を請求される可能性もあります。
実際あちこちで禁止されています。ジムでは決められた場所以外の撮影・録音が禁止で、撮影していると疑われる行為そのものを禁じる例もあります。温泉や浴場は浴室内の撮影がほぼ禁止ですし、病院も原則禁止の例があります。
ここで役に立つ視点を一つ。これらのルールは、たいてい「撮ったら怒られる」という書かれ方で、「カメラ付きの機器を持ってきたら怒られる」ではありません。ところがスマートグラスは、撮っているかどうかが外から見えません。施設の側からすれば、着けていること自体を禁止するほうが管理しやすいわけです。今後そちらへ動く可能性はあると見ています(これはぼくの予想で、確認できた事実ではありません)。
家事・買い物・子どもの行事:主婦・主夫の使い方で現実的なのはどこまでか
もう少し身近な場面です。家の中で使う分には誰にも文句を言われません。両手がふさがった状態でレシピや買い物リストを出せるのは、カメラなしがいちばん力を発揮する使い方です。手が濡れていてもスマホを触らずに済むのは便利ですよね。
買い物も、店内で通知を見るだけなら問題になりにくいです。お店の商品を撮ることは施設のルールで禁止できるとされていますが、カメラなしなら撮れないので気楽ですね。
気をつけたいのが子どもの行事です。撮影のルールが細かく決まっていることが多いですし、他所のお子さんが必ず写り込みます。ここは目立つ形でカメラを構えるほうが、周りにとってはむしろ安心なんですよね。何をしているか見えますから。ぼくなら行事では使いません。
通勤・運転・自転車:運転中はどう考えるか
運転中はどうなのでしょうか。ここははっきり書きます。ぼくは道路交通法での扱いについて裏を取れていませんので、違法かどうかの断定はしません。要・確認の項目です。
そのうえで安全の話としては、目の前に文字が出るものを運転中に使うのはおすすめできません。視線が引っ張られますし、通知が入るタイミングは選べません。自転車も同じです。
迷ったときは、先に一言いえば済みます(言い方の例)
ここまで書いてきて、ぼく自身がたどり着いた対処法はとてもシンプルでした。迷ったら先に言う、です。
お店なら「これ、カメラは付いていないメガネなんですが、着けたままで大丈夫ですか」。会社なら「通知が出るメガネを試したいのですが、マイクが入っているので確認させてください」。この一言で、たいていの場面は終わります。
逆に、黙って着けたまま入ってあとから気づかれるのが、いちばんまずいパターンです。相手は「隠していた」と受け取りますよね。カメラなしを選ぶ意味は、実はここにあります。
いちばんの問題は「周りの人が気づけない」ことです
ここまで場面ごとのルールを見てきましたが、根っこにある問題を書かせてください。それは、周りの人が気づけないということです。
見た目では気づかれません。日本語のレビューが揃ってそう言っています
日本語のレビューを読んで印象的だったのは、みんな「見た目では普通のメガネと区別がつかない」と言っていることです。「変な目で見られた」という話は、ぼくが探した範囲では見つかりませんでした。
つまり日本でいま起きている問題は「着けている人が恥ずかしい」ではなく「周りが気づけない」なんですね。10年ちょっと前の奇妙な形のメガネ型端末とはここが決定的に違います。当時は映画館で使用が禁止されるほど目立ちました。
撮影中を知らせるLEDは、日中は見えにくいです
カメラ付きのモデルには、撮影中を知らせるランプが付いています。ただ、点滅か点きっぱなしかは資料によって書き方が食い違っていて、ぼくは仕様を断定できませんでした。ここは要・確認です。
はっきりしているのは、点灯して知らせてはくれるものの、日中や明るい場所では確認しづらいことが多い点です。「ランプが付いているから安心」とは書けません。
海外ではLEDを消すサービスが出回り、メーカーが対策に動きました
もっと直接的な話もあります。米国では、このランプを取り除く改造サービスが売買され、改造済みの製品そのものが売られていたと報じられました。
これに対してMetaは2026年7月に、ランプが意図的に無効にされたことを検出したらカメラを自動で止める強制更新を発表しました。動いたこと自体は評価すべきですが、裏を返せば悪意のある人を止められていなかった、ということでもありますよね。
規制の話題から外れているのは、じつは数千円〜1万円台の格安機です
そして、いちばん気になったのがここです。議論は有名メーカーのランプの仕様に集まりますが、実際に楽天で検索すると、カメラ付きのスマートグラスが数千円から1万円台で普通に何種類も売られているんです。
ある週刊誌の記者が、1万円台の格安機を着けて都内の繁華街を歩く検証をしていました。外観は普通の黒縁メガネで、歩きながら撮影でき、すれ違う人の顔もはっきり分かる画質だったそうです。専門家も、メガネ型は周囲が気づきにくいと指摘しています。
実際にどういうものが売られているのか見てもらいます。これはおすすめではなく、「こういう物が誰でも普通に買える」という事実を見てもらうために置いています。ぼくは使っていません。レビュー件数も少ないです。技適(日本国内で電波を出す機器に必要な表示)があるか、購入前に必ず商品ページで確認してください。
もう1点も同じ系統で、翻訳機能をうたって1万円台です。こちらもぼくは使っていません。レビュー件数が少ないですし、技適の表示があるかを必ず確認してください。
安い機器を疑うという意味では、ぼくは以前スキャナーを価格ではなくメーカーで選び直しました。その考え方はこちらです。

「スマートグラス禁止」の掲示は、日本ではまだ見当たりません
ここまで散々「ルールで禁止されうる」と書きましたが、実は2026年7月25日時点で「スマートグラス着用禁止」と掲げた日本の大きな施設の掲示や規約を、ぼくは見つけられませんでした。禁止されているのは撮影と録音という行為のほうです。見つからないこと自体が、いまの時期を示していますよね。
だからこそ、カメラなしを選ぶ意味はあります(着ける側が説明できる)
「カメラなしなら何も問題が起きない」ではありません。マイクは残りますし、試験も映画館も職場も、それでは通りません。
それでも意味はあると思っています。着ける側が説明できるからです。「これはカメラが付いていません」と言い切れて、本当にそのとおりであること。周りが気づけない問題に、着ける側から先に手を差し出せるのは大きいです。
正直なところ、買っていい人と待ったほうがいい人
最後に、いいところだけ書いて終わるのはフェアではないので、悪い評判もきちんと書きます。
悪い評判もちゃんと書きます(動作の不安定さ・サポート・屋外の見づらさ・耳の圧迫感)
日本語でも英語でも、評価の傾向はほぼ一致していました。「作りはいいが、ソフトとサポートが追いついていない」です。
具体的には、接続が切れて表示が戻らない、原稿を流す機能が途中で固まる、文字起こしが遅れて出るといった報告があります。海外の口コミサイトには返品対応をめぐる強い不満も書かれていました。ただしこれは海外の直販で買った人の話と見られ、日本の量販店ルートでの実例は見つけられませんでした。ここは要・確認です。
見え方についても厳しい声があります。背景が明るい緑色のときは屋外で著しく見づらい、表示範囲が狭くて細かい文字がつらい、といった指摘です。度付きにしていないと文字がほとんど読めないことがあるという報告もあり、目が悪い人間には無視できません。ツルが硬くて数時間で耳が痛くなるという声もありました。
そして「使い道がない」という評価も複数ありました。通話も音楽もできない、音声アシスタントの返事は全部文字で音の反応が一切ない、他社製のアプリに使いたくなるものが見つからない、といった声です。指輪型の操作デバイスが実質必須で、その電池が切れると体験が落ちるという話もあります。
買っていい人
それでも買っていいと思うのは、目の前に原稿や台本を出したい方、相手の話をその場で文字にして残したい方、両手がふさがる作業をしながら情報を見たい方、写真も音楽も求めていない方です。「毎日かけられるメガネで、文字がちょっと出る」ことに価値を感じられるなら、10万円の意味はあります。
まずは安く試すなら、音だけのモデルという手もあります
いきなり10万円はきついという方には別の入口もあります。オーディオグラスと呼ばれる、音だけのモデルです。
下の商品はレビューが200件近く付いていて評価も高く、この種類では実績があるほうです。メガネ型を毎日かける生活が自分に合うかを2万円台で試せると考えると、悪くない選択肢です。ただし文字は出ませんので、そこは割り切ってくださいね。
待ったほうがいい人と、ぼくが今どちらなのか
逆に待ったほうがいいのは、写真や動画を撮りたい方、遠近両用が必要な方、近くに実機を触れるお店がない方、そしてソフトの不具合に自分で付き合う気力がない方だと思います。
ぼくがいまどちらかというと、正直「待ち」です。度付きにすると12万円を超えること。遠近両用がいずれ必要になる年齢に近づいていること。そして、実機を一度も顔に載せずに決めたくないこと。この3つが理由です。
ただ、否定的になったわけではありません。むしろ調べるほど「方向としては正しい道具だな」と思うようになりました。銀座か名古屋のお店で実際に顔に載せてみるつもりです。ぼくの次の一手はそこです。行けたら、ちゃんと記事にしますね!
まとめ:度付きでカメラなしのスマートグラスを選ぶなら
長くなりましたので最後に整理します。スマートグラスの度付きでカメラなしを選ぶときに押さえておくべきだと思ったのは、次の4つです。
1つめ、カメラなしでもマイクは残ります。映画館の法律と会社のルールは録音も撮影と同じ列で禁止していて、試験にいたっては機器を身に着けているだけでアウトですので、カメラを外したことは免罪符になりません。2つめ、度付きにすると本体代のほかに数万円の上乗せがあり、扱えるお店も限られます。3つめ、値段を決めているのはカメラではなく、目の前に文字が出る画面です。4つめ、迷ったら先に一言いうことです。これがいちばん効きます。
そのうえで、いま度付きで現実的に手が届くのはこちらです。カメラは付いていますが、純正の度付きレンズに対応したメガネ型で、ふだんメガネをかけている方がそのまま置き換えられます。カメラなしのEven G2を度付きで使うなら、楽天には本体が無いので、量販店かJUN GINZAで実機を見てから決める流れになりますね。
そして、Even G2の本体を買うと決めた方は、持ち運び用のクリップとポーチも一緒にどうぞ。こちらも角型Bのグリーン用ですので、形や色が違う方は同じシリーズの別の型を選んでください。
最後にもう一度だけ書いておきます。ぼくはまだ買っていません。この記事は買う前に本気で調べた記録です。実際に顔に載せたら、また違うことを言い出すかもしれません。そのときはまたここに書きますので、よかったらまた読みに来てくださいね!

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