ラジコンのカスタムって、本当に楽しいですよね。小さなパーツひとつで、マシンの見た目や使い勝手がガラリと変わる。そんなパーツ選びの楽しさと、それと同じくらい深い「沼」にハマってしまった、ある日のぼくの話をします。今回の主役は、ボディとシャーシを固定する、あの小さな「ボディピン」。たったこれだけのパーツに、こんなにも壮大なドラマが待ち受けているなんて、この時のぼくは知る由もありませんでした。ネットでポチったパーツが届く、あのワクワク感。それが絶望に変わるまでの時間は、ほんの一瞬。この記事は、そんな小さな失敗から始まった、たった一本のピンを見つけるまでの、ぼくの七転八倒の記録です。ラジコンのパーツ選びで同じような悩みを抱えているあなたの、何かのヒントになれば嬉しいです。
すべては、この一枚の写真から始まった
ことの始まりは、愛車である「DEERC 300E」のボディピンを、もっと使いやすいものに交換しようと思い立ったことでした。純正のピンって、小さくて抜き差しがちょっと大変なんですよね。そこで、ネットで見つけたのが、持ちやすそうなタブ付きのボディピン。見た目もいいし、これで作業が楽になるぞ、と。

ウキウキで届いた商品を早速開封。あれ…?なんだか、思っていたよりも大きい…?比較対象として、いつも腕に巻いているGarminのスマートウォッチ「Venu 3」と並べてみたのが上の一枚です。写真だと伝わりにくいかもしれませんが、明らかに大きい。そして、太い。DEERC 300Eの小さなボディポストの穴には、到底入りそうにありませんでした。まさに「大は小を兼ねない」を地で行く、完璧な失敗。小さなパーツだからと、サイズ感を甘く見ていました。ここから、ぼくの長いボディピン探しの旅が幕を開けたのです。
なぜ失敗した?そもそもDEERC 300Eのピンのサイズって?
この失敗を糧にするため、まずは原因をちゃんと調べることにしました。そもそも、ぼくが買ったこのピンは何だったのか。パッケージをよく見てみます。
そこには「KYOSHO」「Genuine Parts」「Body Pin (1.6mm/10pcs/FM29)」の文字が。なるほど、ラジコン界の雄、京商の純正パーツだったようです。そして、重要なのが「1.6mm」という表記。これがピンの針金の太さ、つまり「線径」だったんですね。対して、ぼくの愛車DEERC 300Eは、比較的小ぶりな「1/18スケール」のラジコンです。一般的に、1/10スケールなどの大きなモデルでは、ボディをしっかり固定するために1.5mm〜1.6mmの太いピンが使われることが多いようです。つまり、ぼくは1/18スケールのマシンに、1/10スケール用の巨大なピンを買ってしまった、というわけです。これは、野球のグローブを買いに行って、間違えてキャッチャーミットを買ってくるようなもの。そりゃあ、サイズが合うわけがありませんよね。
迷走の始まり。ネットの情報を探るも、深まる謎
失敗の原因が「スケール違いによるピンの太さ」にあると分かったぼくは、次に「じゃあDEERC 300Eに適合する正しいピンはどれだ?」という疑問にぶつかります。これが、次なる沼への入り口でした。
「DEERC 300E ボディピン サイズ」 「DEERC 300E 適合パーツ」
こんなキーワードで検索を続けていると、あるパーツセットの情報にたどり着きました。それは「300E/302E 用スペアパーツセット」というもので、パーツ番号は「PX9300-04」。これなら純正のセットだし、間違いなくボディピンも入っているだろう、と。早速Amazonで探してみると、それらしい商品が見つかります。これで解決か、と思ったのですが…。
「それ、違いますよ」— 読者からの鋭いツッコミ
ここで、もしブログのコメント欄があったなら、きっとこんな書き込みがされていたでしょう。「そのパーツセット、ボディピンは入ってないですよ」と。
実は、この「PX9300-04」というパーツセットの中身は、ボディピンではなく「サスペンションのリンクロッド」だったのです。危うく、またしても目的とは違うパーツを買ってしまうところでした。ネットの情報は便利ですが、こうした勘違いも起こりがち。特にラジコンのパーツは、見た目が似ていて紛らわしいものも多いので、品番や内容物をしっかり確認する重要性を改めて痛感しました。ちなみに、この時「スイングアーム」と「サスペンションアーム」の言葉の使い分けについても、ひとつ賢くなりました。一般的に、ぼくたちのラジコンで使われるアーム部品は「サスペンションアーム」と呼ぶのがより正確みたいです。
「長さ」と「太さ」の罠。今度こそ見つけた!…はずだった
振り出しに戻ったぼくは、さらにリサーチを続けます。そして、ついにAmazonで、いかにも「これだ!」と思える商品を発見しました。それが、このHAMILOというブランドのボディクリップです。



ラバータブが付いていて、すごく抜き差ししやすそう!しかも「様々なスケールのラジコンカーに使える」という夢のような言葉まで書かれています。商品説明の画像を食い入るように見つめ、ぼくはあることに気づきました。
サイズ表記のトリックを見抜け!
この商品の画像には、ラバータブの持ち手を含めた全長が「約42mm」と書かれています。ということは、ピン自体の長さはだいたい20mmくらいかな?と。この20mmという長さが、ぼくの手が覚えていたDEERC 300Eの純正ピンのサイズ感と、まさにピッタリ一致したんです!「これだ!見つけた!」と、心が躍りました。「様々なスケールに使えるって書いてあるし、長さも合ってるんだから、もうスケールなんて気にしなくていいんじゃないか?」と。
しかし、ここに大きな落とし穴が潜んでいました。それは、ぼくたちが最初の失敗で学んだはずの、最も重要な教訓。ボディピン選びで本当に大切なのは、「長さ」ではなく**「太さ(線径)」**である、という事実です。
このHAMILOのピンの商品説明をよく見ると、「1/8スケール、1/10スケール、1/12スケール」と書かれています。そう、またしても、ぼくの1/18スケールは仲間外れ。いくら長さの感覚が合っていても、ピンの太さが1/10スケール基準(おそらく1.5mm前後)であれば、1/18スケールの小さなボディポストの穴には絶対に入りません。それはまるで、家の鍵穴に、それより太い車のキーを無理やり押し込もうとするようなもの。入るわけがないのです。この気づきがなければ、ぼくはきっと三度目の失敗をするところでした。本当に危なかった…。
原点回帰。「わからないなら、測ればいいじゃない」
ネットの情報に翻弄され、二度も失敗しかけたぼくは、ついにひとつの結論に達します。「もう、ネットで探すのはやめよう。自分の手で、現物を測ろう」と。
そう、原点にして、最も確実な方法です。なぜ最初からそうしなかったのか、という気もしますが、これもまた経験。早速、愛車のボディポストの穴の直径を測ることにしました。こういう精密な測定には、一家に一台あると便利な「ノギス」を使うのがベストです。もし無くても、普通の定規を当てて慎重に読んだり、あるいはドリル刃のセットがあれば、穴にピッタリはまる刃を探してそのサイズを確認したりする方法もあります。
このひと手間で、パーツ選びの精度は劇的に上がります。もしあなたが同じようにパーツサイズで悩んでいるなら、まずは測ってみることを強くオススメします。ぼくも、これでようやく確実な数値を手に入れることができました。
運命の出会いは、意外な場所に。
正しいサイズを把握したぼくは、週末、ラジコンとは全く別の用事で、近所のホームセンター「DCM」を訪れていました。日用品をカートに入れ、ぼーっと店内を歩いていた、その時です。ふと、視界の片隅に、見慣れた形状の金属パーツが飛び込んできました。
そこは、ラジコンコーナーではありません。農機具の補修部品や、建築用のボルト・ナットがずらりと並ぶ、プロ御用達の「金物コーナー」。その壁に掛けられた無数の小袋の中に、それはありました。


「ステンRピン 6パイ用」。価格は150円ほど。手にとって見ると、最初に買った京商のピンよりも明らかに細く、小さい。そして、パッケージに書かれた「6パイ用」という文字。これこそが、全ての謎を解く鍵でした。
なぜこれが「正解」だったのか?工業規格の罠と福音
一見すると「6パイ用」=「直径6mm用」だから、太いんじゃないの?と思ってしまいますよね。でも、これは工業製品ならではの表記マジックだったんです。
この「6mm用」というのは、ピン自体の太さではなく、「直径6mmの棒(シャフト)に開けられた穴に、抜け止めとして使うためのピン」という意味。そして、この「呼び径6mm」のRピンの、針金の太さにあたる「線径」は、JIS(日本産業規格)などの規格で、およそ1.0mmと定められているのです。
ぼくが探し求めていた、1/18スケールのラジコンに適合するピンの太さは、まさに1.0mm〜1.2mm。目の前にあるこの150円の小さな金具は、まさに運命のパーツでした。ラジコンショップではなく、ホームセンターの金物コーナーで、こんな完璧な代用品に出会えるなんて。この発見は、今回の旅の中でも最大のハイライト。視野を広げることの大切さを、身をもって知った瞬間でした。

もちろんDCMで買えば送料いらないよ!
DCMって前はケイヨーデイツーって言ってたね。
週末、そして取り付けへ
そして週末。ぼくは早速、この「YAHATA ステンRピン」を愛車DEERC 300Eに取り付けました。あの小さくて、でも確実に入らなかったボディポストの穴に、新しいピンをそっと差し込む瞬間は、なかなかに感動的でした。

左が純正のボディピン。ちゃんとゴムの取っ手付き。
そして左がDCMのボディピン!ちゃんと入りました。でもすこーし太いね。でも全然大丈夫!!


ついでに黄色バギーも純正ピンがなくなっちゃったから使ってみたよ!
こっちもばっちり。このバギーは1/16のコです。左のピンが純正で持ちやすいようにネジリッコをつけてます。んで、右がDCMね。これもばっちりb


そしていよいよこの画像がいちばん重要なのでは!?
ぜんぶ並べて比べてみました。
一番左が黄色バギーの純正ボディピン
真ん中がDEERC 300Eの純正ボディピン
そしてそして右のがDCM様のRピン!!!
やっぱりちょっと太いね!その分抜けにくいか!

結果はどうだったのか。その使い心地は?見た目の変化は? そのお話は、また次の機会に。今回の長い長いボディピン探しの旅は、これにて一旦、幕を閉じます。たかがピン、されどピン。この小さなパーツひとつが、ぼくにたくさんの学びと、ささやかな冒険を与えてくれました。あなたのラジコンライフにも、こんな素敵な発見が訪れますように。
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