充電池の容量を確認しようと充電モードにかけたら、画面のmAhが定格よりだいぶ小さくて、劣化を疑ったことはありませんか。ぼくも先日、東芝の充電式IMPULSE単3形(定格min.2400mAh)を3本、以前の記事でまとめた設定のまま充電モードにかけたところ、画面に出たのは956mAh〜1618mAhでした。3本とも定格には届かないうえに、1本ずつ数字がバラバラで、最初は「設定を間違えたのか、それとも電池が弱ってきたのか」と思いました。調べてみると、充電モードの画面に出るmAhは、電池の容量そのものを表す数字ではありませんでした。
定格2400mAhの充電池の容量を確認したら956〜1618mAh、劣化かと思った話
使った電池は、東芝の充電式IMPULSE単3形(型番TNH-3A、定格min.2400mAh)を3本。充電器はHitec X4 Advanced EX Proで、モードは充電モードです。設定値は以前の記事に実機の画面どおり全項目をまとめてあるので、ここでは繰り返さず、結果だけお見せします。
- スロット1:完了 1.42V 1618mAh
- スロット2:完了 1.40V 1052mAh
- スロット3:完了 1.40V 956mAh
IMPULSEは、ぼくも良い電池だと思って使っているものです。それが3本とも定格には届かず、しかも1本ずつ数字がバラバラ(1618・1052・956mAh)だったので、最初は「設定がおかしいのか」「電池がもう弱っているのか」と気になりました。結論から言うと、どちらでもありませんでした。理由は、充電モードという仕組みそのものにあります。
今回使っているのは、この記事の数字を出したHitec X4 Advanced EX Proです。充電・放電・サイクル・ブレークインと複数のモードを切り替えられ、それぞれの画面で電圧・電流・mAhが数字で見えるので、「いま、どのモードで、何を測っているのか」を切り分けて考えるのに向いている充電器だと思っています。
充電モードのmAh表示は「容量」ではなく「その回に入れ足した量」
放電(空にする)を通らないから、残っていた分は数に入らない
充電モードは、電池を先に空にする工程を持っていません。いまの残量がどれだけであっても、そこから満充電になるまで電気を足すだけです。つまり画面に出るmAhは、「電池がどれだけの電気をためられるか」ではなく、「その1回の充電で、実際に足りなかった分をどれだけ入れたか」を表す数字です。
もし電池にまだ半分近く残量が残っていれば、満充電まで足す量は残りの半分だけで済みます。画面には小さい数字が出ますが、これは電池の容量が半分になったという意味ではありません。逆に、使い切った状態から充電すれば、画面に出る数字はもっと定格に近づくはずです。同じ電池でも、充電を始めた時点の残量しだいで、画面の数字は毎回変わります。今回の3本の数字がこれだけバラバラだったのも、3本それぞれの残量が違う状態から充電が始まったと考えると説明がつきます。
満充電までの内訳(イメージ)
全体(残っていた量+入れ足した量)が満充電です。充電モードの画面に出るmAhは、右側の「今回入れ足した量」だけです。実際の割合は電池ごと・充電ごとに変わるので、この図は考え方を示すイメージであり、今回の3本の実測比率ではありません。
残量が残った状態から充電が始まった可能性
今回の3本は、使い切ってから充電器に入れたわけではありません。入れ足した量が1618・1052・956mAhとこれだけ違ったのも、3本それぞれの残量が違う状態から充電が始まったと考えると説明がつきます。ニッケル水素電池は種類によって、使わずに置いておいたときの自己放電のしやすさに差があり、減りにくいタイプの電池は使い切らずに次の充電を迎えても残量が残っていることが多いとも言われます。IMPULSEもそう言われることのある電池ですが、自己放電の数値そのものは、東芝公式のページを探してみたのですが見つけられませんでした。ぼくがどれくらい使ってから充電器に入れたかも、正確には覚えていません。だからここはぼくの推測です。
今回使ったTNH-3Aは、いまの東芝ライフスタイルの充電式IMPULSEの紹介ページの一覧には載っていない型番ですが、同じIMPULSEというシリーズの電池です。
容量欄の上限では止まっていません
充電モードには「容量」という設定項目もあり、これは満充電までに使ってよい電気の上限を決める保護の値です。電池の本当の容量ではなく、「ここまで入れても満充電にならなければ、そこでいったん止める」という上限です。この上限は、かなり余裕を持たせた大きい数字に設定してあります。具体的な数字と決め方は以前の記事にまとめてあるので、ここでは触れません。
今回の956〜1618mAhという数字は、その上限にはまったく届いていません。つまり「上限に当たって強制的に止められた」のではなく、電池のほうが先に満充電のサインを出し、充電器がそれを検知して自然に止まった、ということです。充電モードには、満充電に近づくと電圧のわずかな落ち込みを見て充電を終える仕組み(デルタピーク)があります。撮っている途中の画像では、スロット1がまだ充電中で、設定した1.20Aから0.39Aまで絞られていて、充電器が電池の状態に合わせて電流を自動で抑えている様子です(下の画像。設定はIR自動=内部抵抗が高いと自動で電流を下げる方式です)。
使っている充電器はHitec X4 Advanced EX Proで、製品としての仕様はハイテック公式の製品ページで確認できます。
だから設定は悪くない。数字がバラバラでも劣化ではありません
ここまでをまとめると、956〜1618mAhとバラバラな数字になったのは、容量欄の設定を間違えたからでも、充電器の異常でもありません。充電モードという仕組みが、もともと「残っている分を差し引いて、足りない分だけ入れる」動き方をするからです。良い電池を使っていても、充電を始めた時点の残量が電池ごとに違えば、入れ足す量もそれだけ変わります。設定は悪くなく、数字がバラバラなこと自体は劣化のサインではありません。
ただし「劣化していない」とも言い切れません
ここで安心して終わりたいところですが、逆方向の断定もできません。充電モードの数字だけを見ていても、次の2つを見分けることができないからです。
- 単純に、充電を始めた時点で残量が多かったから、入れ足した分が少なかった
- 電池が劣化していて、満充電のサイン(デルタピーク)が早めに出てしまった
どちらの場合でも、充電モードの画面にはその電池の残量なりの数字が出るだけです。今回のIMPULSEについても、「1番ロットがそろそろ寿命なのでは」という問いに、充電モードの数字だけでは答えが出せないというのが正直なところです。
見分ける方法はサイクル(放電)モードで測ること
この2つを見分けるには、充電モードとは別の測り方が要ります。Hitec X4 Advanced EX Proには、先に電池を放電して空にしてから充電し直す「サイクルモード」があります。空にしてから測るので、放電の工程で出てくる数字が、電池の実力に近い目安になります。残量の多い少ないに左右されにくいところが、充電モードとの違いです。
ただし、以前6年9か月使ったエネボルトの単3形をサイクルモードで測ったときは、画面に表示された数字が「充電で入った量」なのか「放電で取り出せた量」なのかまで確かめきれませんでした。完了した3本の実容量は定格の74〜79%あたりで、うち1本は上限まで入れても満充電と判定されない「容量カット」になっています。素直に「取り出せた量」を見たいなら、放電モードで測るか、サイクルモードの中でも放電の工程が終わった時点の数字を見るのが確実です。IMPULSEの設定はD->C(先に放電し、最後に充電で締める)にしているので、この点は今回もあらためて注意して見るつもりです。あわせて読むと、サイクルモードで何が分かって何が分からないかの参考になると思います。

数字が小さく出たからといって、必ずしも寿命が近いとは限りません。逆に、旧いエネループをサイクルモードで測ったら現役だったという記事も以前に書きました。今回のIMPULSEも、測ってみるまでは決めつけないつもりです。
IMPULSEのサイクルモード・ブレークインモードの設定値
今回のIMPULSE単3形をサイクルモードやブレークインモードで測るときの設定値は、実機の画面に出てくる項目を全部まとめた記事があります。容量欄の数字、充電電流、放電電流など、この記事では再掲しません。設定してから測りたい方は、先にこちらを見ておくと迷わずに進められると思います。

容量ごとの設定値の決め方(容量欄の計算式や、メーカーの充放電電流の目安表の使い方)を最初から知りたい方は、容量別の設定値と計算式をまとめた記事に書いてあります。
まとめ:機会をみてサイクルでも測ってみます
今回分かったのは、充電モードの画面に出るmAhは「電池がどれだけ電気をためられるか」ではなく「その回にどれだけ足したか」を表す数字だということです。良い電池でも、電池ごとに残量が違えば数字はバラバラになります。だから956〜1618mAhとバラバラだった結果だけで、設定を疑う必要も、電池を劣化と決めつける必要もありませんでした。
一方で、この3本が本当に元気なのか、それとも寿命が近づいているのかは、充電モードの数字だけでは答えが出ません。いずれ機会をみて、サイクル(放電)モードでも測ってみるつもりです。数字が出たら、この記事に追記する形で報告します。


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