「アプリ経済の終焉」って大げさに聞こえますよね。でもぼくは、その先に残るのはゲームだと思っているんです。アプリを自分で作ってブログに埋め込んでいる当事者として、この話がずっと頭から離れません。この記事では、この話の正体をぼくなりに整理して、なぜゲームは消えないと思うのか、というところまでお話ししていきます。事実の数字と、ぼくの予想は、はっきり分けて書きますね。
アプリ経済の終焉とゲームの話、結論から言いますね
先に結論を言ってしまいます。ぼくの理解では、アプリ経済の終焉というのは「これまで何十個ものアプリで片付けていた用事が、聞けば答えてくれるAIの相手ひとりに吸い込まれていく」という話です。ただし、ぜんぶのアプリが消えるとは思っていません。用事を片付けるアプリは消えていくけれど、ゲームのように体験そのものが目的のものは残る——これがこの記事の結論です。難しく考えなくても、身のまわりのアプリを思い浮かべればわかります。
ここで大事なのは、アプリが要らなくなる理由は、アプリを何のために使っているかを裏返すと見えてくる、ということなんです。この視点さえ持っておけば、この「終わり」という言葉に振り回されずに済みます。
ぼくがこの話に引っかかった理由
ぼくはミニ四駆やガジェットの記事を書きつつ、最近はAIと一緒にブラウザゲームを作ってブログに載せています。だから「アプリってこれから増えるの、減るの?」という問いは、正直まったく他人事じゃないんですよね。作る側の人間としては、自分が作っているものが伸びる側なのか、消えていく側なのか、めちゃくちゃ気になります。
そんなときに、あるテクノロジー系の記事で「終焉に向かうアプリ経済、大半の創業者はまだ気づいていない」という主張を読みました。書いたのは、昔コマンドライン時代からコンピューターに触れて、数千万人規模のデジタル銀行を率いてきたという人です。この人の話が、ぼくの中でモヤモヤしていたものを言葉にしてくれた感じがしたんです。
一言でいうと「用事アプリが一人の相手に吸い込まれる」
アプリの用途って、ざっくり分けると4つくらいだと思うんです。調べもの、買い物、社会交流、ニュースを知ること。天気を調べる、地図で道を探す、ネットで買い物する、友達と連絡を取る、ニュースアプリを開く……ほとんどこのどれかに当てはまりますよね。
で、この4つを全部、聞けば答えてくれる相手がひとりいたらどうでしょう。しかもAIの画像生成がどんどん速くなっていて、「こんな感じですよ」ってパッと絵で見せてくれるとしたら。わざわざアイコンを探してアプリを開いて、という手間そのものが要らなくなっていきます。これがぼくの理解する、アプリ経済の終わりの正体です。
ぼくのスマホのホーム画面って、正直アイコンでびっしり埋まっているんですよね。乗り換え案内、天気、フリマ、レシピ、ニュース、家計簿……。それぞれ別々のアプリで、別々に開いて、別々に操作しています。でも、やっていることを言葉にすると「調べる」「買う」「やり取りする」「知る」のどれかなんです。だとしたら、この全部を一人の相手にまとめて頼めるなら、アイコンの数はどんどん減っていくはずですよね。そう考えると、アプリ経済の終わりって、遠い未来の話じゃなくて、もうぼくの手のひらの上で始まりかけているのかもしれません。
数字で見る「アプリ経済」の失速
ここからは、ぼくの感覚じゃなくて実際の数字の話をします。以下はForbes JAPANの記事で紹介されていた事実で、ぼくが勝手に作った数字ではありませんよ。出典は記事の最後にリンクを置いておきますね。
ダウンロード数はピークから減り続けている
アプリのダウンロード数って、ずっと右肩上がりだと思っていませんか。ぼくもそう思っていました。でも実際は、ピークだった2020年に世界で年間1350億本ダウンロードされたあと、その数字は5年連続で減っているそうなんです。2025年は1070億本で、ピークからおよそ21%減。モバイルゲームのダウンロードも1年で8.6%減っていて、TechCrunchによれば減少は着実で、反転の兆しは見えていないとのことでした。
もちろん、これだけで「アプリはもう終わりだ」とは言えません。でも、あらゆる課題にアプリがあってあらゆるアプリに競合がいた、あの熱狂の時代とは空気が変わってきているのは事実みたいです。ちなみにその記事の著者は、バイブコーディングやノーコードで「アプリの時代が復活する」という見方には反対でした。誰もが数時間でアプリを作れるようになったら、誰のアプリにも特別な意味がなくなる。参入障壁が崩れたのと同時に、参入する理由も崩れた、という主張です。ここは、作る側のぼくとしてはちょっとドキッとする指摘でした。
お金の流れが、人からAIエージェントへ動き始めている
もうひとつ、数字の話をします。買い物をする主体が、人からAIエージェント(人の代わりに動いてくれるAI)に移っていく、という予測です。これも事実として紹介されていた数字を並べますね。
調査会社のGartnerは、2028年までに全ユーザー体験の3分の1が、いわゆるネイティブアプリからエージェント型のフロントエンドに移ると予測しています。McKinseyは、エージェントが調整する商取引の売上が2030年までに世界で3〜5兆ドル(約812兆円)に達しうると見積もっています。Bainは米国だけで3000〜5000億ドル、EC全体のおよそ15〜25%という数字を出しています。
しかも、その土台になるインフラもすでに作られ始めています。VisaはAIエージェントの身元を確認する「Trusted Agent Protocol」という仕組みを発表しましたし、GoogleはGeminiをAndroid上でサードパーティのアプリを自律的に操作するOSの層に位置づけています。数字だけじゃなくて、地面がもう動き始めているんですね。
ここからはぼくの予想になりますが、この流れでいちばん先に効いてくるのは「無料アプリ+広告」というお金の稼ぎ方じゃないかと思います。だって、AIエージェントは広告を見ませんもんね。人の代わりに買い物してくれるAIに、バナーを出しても意味がない。記事の著者も、エージェントが判断するのは価格・速度・信頼性で、ブランドの感情的な訴えは関係ない、と書いていました。無料で配って広告で稼ぐ、というアプリの王道モデルは、相手が人からAIに変わった瞬間にいちばん揺らぐんじゃないか、というのがぼくの見立てです。
なぜアプリが要らなくなるのか=アプリは何のために使うのか
ここで、さっきの「用途を裏返すと見える」という話に戻ります。ぼくはこの考え方が、アプリ経済の終わりをいちばんスッキリ説明してくれると思っているんです。
調べもの・買い物・社会交流・ニュース、の裏返し
たとえば銀行アプリって、どれを開いても似ていますよね。口座があって、残高があって、カードがあって、取引履歴がある。画面ベースで設計すると、どの会社も同じパターンに押し込まれるからです。
それを1つの問いかけに置き換えたらどうなるか。「今日のぼくの総購買力っていくら?」と聞くと、AIが必要なら確認の質問を返して、現金や信用枠や流動資産を全部織り込んだ数字を答えてくれる。奥さんが気に入った指輪の写真を撮って「これ買える?」と入れると、「買えますよ、でも次の給料日まで待ったほうがいいかも」と提案してくれる。これはもう「もっと良いアプリ」じゃなくて、まったく別のものなんですよね。画面もボタンもオンボーディングもなくて、ただ会話がある。調べもの・買い物・社会交流・ニュースって、要するに「誰かに聞けば済むこと」の集まりだったんだと気づかされます。
「こんな感じです」とパッと見せてくれる相手
昔のコマンドライン時代は、正確な命令を打たないと機械は動いてくれませんでした。1文字のミスも許されなくて、全部のコマンドを暗記する必要があったそうです。だからアイコンをタップするだけのスマホは「自由は減ったけど簡単になった」という、悪くない交換だったんですね。
でも今のAIは、雑でも曖昧でも、こっちの意図を汲んでくれます。ChatGPTやClaudeが10億人以上を、もう一度「文字で頼む」世界に連れ戻したと言われています。1986年のコマンドラインとの違いは、今のプロンプトは乱雑で未完成でもいい、という点です。そこにAI画像生成が加わって「こんな感じですよ」とパッと絵まで見せてくれるなら、用事を片付けるためのアプリは、ますます居場所を失っていくんじゃないかと思います。
ここからはぼくの予想:文字に戻る時代の青写真
ここからは事実じゃなくて、ぼくの予想です。上の数字を錨にして線を引いてみただけなので、「〜だと思う」「〜かもしれない」で読んでくださいね。当たるかどうかはわかりません。
ソフトの単位が「行く場所」から「呼び出す能力」へ
ぼくが思うに、これからソフトの最小単位が「アプリ=行く場所」から「能力=AIが必要なときに呼び出す機能」に変わっていくんじゃないでしょうか。文字で頼んだら、AIが裏で全部やってくれる、という昔ながらのやり方への回帰です。ただし昔のコマンド入力と違って、雑でも意図を汲んでくれる。ここが決定的に違うところだと思います。
そうなると、競争の場所も変わる気がします。これまではUIの美しさ、つまり表側の見た目で勝負していました。でもAIエージェントは画面を見ないしスクロールもしません。ロゴにもアニメにも、3か月かけて作ったオンボーディングにも興味がない。エージェントが取引相手として選ぶのは、きれいなデータ、オープンなAPI、機械が読めるカタログ、確実に実行してくれる力を持った会社なんじゃないかと思います。つまり勝負が表から裏へ移る、ということです。
画面は使い捨て、そして新しい関所が生まれるかもしれない
画面がゼロになるとは思いません。でも、その瞬間にAIが必要な分だけ生成する「使い捨ての表示」になっていくかもしれない、とぼくは予想しています。作り込んだUIやかわいいロゴの価値は、今より薄れるかもしれませんね。
そして、ちょっと怖い予想もしておきます。エージェントの決済のレール、身元の確認、信頼の評価みたいな「新しい関所」が生まれて、そこを握る会社に力が集中するかもしれません。アプリを作る側は、その関所を握る胴元に能力を卸す下請けに押しやられる危険もある。あくまでぼくの見立てですが、作り手としては、ここは頭の片隅に置いておきたいなと思っています。
SEOも「人向け」から「AI向け」に変わっていくかも
これもぼくの予想ですが、ブログをやっている身として気になるのがSEOの話です。今のSEOって、人間が検索して、人間がタイトルを見てクリックする前提で組み立てられていますよね。ぼくもこの記事を、人に読んでもらうつもりでキーワードを考えています。でも、もし調べものをするのが人じゃなくてAIエージェントになったら、最適化の相手もAIに変わるはずです。人向けの「クリックしたくなる見出し」より、AIが正確に読み取れる整ったデータのほうが大事になっていく。ブランドへの愛着より、エージェントが記録する信頼スコアや実績のほうがモノを言う。そんな世界になるのかもしれない、と想像しています。
時間軸についても、少しだけ予想を書いておきますね。いきなり全部が置き換わるとは思っていません。たぶん最初は、旅行の予約とか、いつもの日用品の再注文とか、送金みたいな「決まりきった狭い用事」から代行が始まるんじゃないでしょうか。さっきの事実に戻ると、Gartnerは2028年に体験の3分の1がエージェント型へ、McKinseyは2030年に大きな商取引がエージェント経由へ、と見ています。その頃には、銀行や旅行や保険の予約は「アプリを使わないのが当たり前」の側に回っているのかもしれません。これはぼくの勝手な線引きなので、外れても笑ってゆるしてくださいね。
それでもアプリが終わらない場所=ゲーム
ここまで「アプリは要らなくなる」という話をしてきました。でもぼくは、全部が消えるとは思っていません。会話で片付かない領域は残る。その筆頭がゲームだと、ぼくは思っています。ここがこの記事でいちばん言いたかったところです。
レースゲームはAIと会話しても楽しくない
たとえばレースゲームを思い浮かべてください。あれって、AIエージェントに「代わりに走っといて」と頼んでも、まったく楽しくないですよね。だってレースゲームは、用事を片付けることが目的じゃないからです。自分でハンドルを握って、コーナーでヒヤッとして、コンマ数秒を削る。その体験そのものが目的なんです。
ここが用事アプリとの決定的な違いだと思います。調べものや買い物は「早く終わってほしい用事」だから、AIに任せられれば任せたい。でもゲームは「終わってほしくない時間」なんですよね。代行してもらったら意味がない。だからゲームは、会話に吸い込まれずに残る側だと、ぼくは考えています。
ゲーム以外にも「代わってほしくない体験」はある
同じことは、ゲーム以外にもいくつか言えそうです。たとえば楽器を弾くこと、絵を描くこと、スポーツをすること。どれも「AIに代わりにやってもらったら意味がない」体験ですよね。用事は代わってほしいけど、楽しみは代わってほしくない。この線引きが、これから消えるアプリと残るアプリを分ける境目になるんじゃないかな、とぼくは思っています。そしてゲームは、その「楽しみ」の中でもいちばん大きな塊なんです。
即興で作れても、そのゲームにハマった仲間はまだいない
ここで、ちょっと意地悪な反論も自分でしておきます。AIがすごく進んだら「欲しいゲームをその場で即興で作ってもらって遊ぶ」こともできるようになるかもしれません。そうなったら、既製のゲームアプリも要らなくなるんじゃないの、と。
でも、ぼくはここに大事な落とし穴があると思うんです。即興で作ってもらったゲームには、そのゲームにハマった仲間がまだいません。だって、自分が世界で1人目のプレイヤーだからです。ランキングも、攻略を語り合う友達も、「あの神アプデ覚えてる?」という思い出も、何ひとつ積み上がっていない。ゲームがゲームとして熱いのは、実は「作れること」じゃなくて「たくさんの人と同じ体験を分かち合えること」なんじゃないかと、ぼくは思っています。
対戦や協力プレイ、eスポーツ、実況や観戦、みんなで同じタイトルに夢中になる感覚——こういう「人がそこにいること自体が目的の体験」は、即興生成では簡単に代われないと思うんです。共有された熱狂とか、積み重なった文化とか、コミュニティとか。ここがゲームがアプリとして消えない理由だと、ぼくは見ています。もちろんこれもぼくの予想なので、外れる可能性はありますけどね。
作り手として、ぼくがどこに立つのか
さて、ここまで大きな話をしてきましたが、最後は等身大の話に戻します。ぼく自身は、この変化のどこに立っているんだろう、という話です。
ぼくがブログに埋め込んできた自作ゲームのこと
ぼくはこのブログに、AIと一緒に作ったブラウザゲームをいくつも埋め込んできました。シューティングの「スター・アマンダ」を作って、続編まで作りました。タイピング練習ゲームの「タイポニカ」は、最初がイマイチだったので大改造して、上から音符が降ってくる音ゲーにまでしましたよ。小説を書きながらタイピングを覚える変わり種のゲームも作りました。
正直に言うと、これらは大ヒットしているわけじゃありません。遊んでくれる人はまだ少ないです。そこは盛らずに書いておきますね。でも作っていて思うのは、これって「用事を片付けるアプリ」じゃないんですよね。開いた人にその場で楽しんでもらう「体験」の側なんです。
作っていていちばん実感するのが、まさに今回の山場だった「1人目問題」なんです。AIと一緒だと、ゲーム自体は本当にサクサク作れます。タイポニカを音ゲーに大改造したときも、思いついてから形になるまであっという間でした。でも、作った瞬間にそのゲームで遊んでいるのはぼく1人だけなんですよね。ハイスコアを競う相手もいないし、「あの面むずいよね」と語り合う仲間もいない。作れることと、みんなで盛り上がれることは、まったく別ものなんだと身にしみて感じています。
逆に言うと、これはAIがどれだけ進んでも簡単には埋まらない差なんじゃないか、とも思うんです。即興でゲームを生成できる時代になっても、そこに人が集まって、記録が積み上がって、思い出ができるまでには時間がかかります。その「積み重なった熱狂」こそが、消えないゲームの正体なんじゃないかな、と。だからぼくは、作る速さより、遊んでくれた人がもう一回来たくなる理由をどう作るか、をこれから考えていきたいんです。
実際に作ったゲームは、よかったら遊んでみてください。下にリンクを置いておきます。
シューティング「スター・アマンダ」の記事はこちらです。
その続編「スター・アマンダ2」の記事はこちらです。
タイピング音ゲー「タイポニカ」を大改造したときの記事はこちらです。
用事を片付けるアプリではなく、その場で楽しむ体験
もし今回の話のとおり、用事アプリがAIに吸い込まれて消えていくのだとしたら、ぼくが立っているのは、たぶん消える側じゃなくて残る側なんじゃないか。そう思うと、ちょっと勇気が出ます。もちろんこれは希望的観測も混じった見立てで、確定した話ではありません。
ただ、ひとつ確かなことがあります。ぼくが作っているゲームに「みんなで同じものにハマる」熱狂がまだ足りない、というのは事実です。だとしたら、これから作り手としてやるべきことは、機能を増やすことよりも、遊んでくれた人が誰かに話したくなる体験を作ることなのかもしれません。そのヒントを、この「アプリ経済の終わり」という話からもらった気がします。小説を書きながらタイピングを覚えるゲームの記事も、そういう「体験を分かち合う」実験のひとつなので、よかったらのぞいてみてくださいね。
まとめ:終わる経済と、残る熱狂
長くなったので、アプリ経済の終焉についてのぼくの考えをまとめますね。
まず事実として、アプリのダウンロード数はピークの2020年から5年連続で減っていて、Gartnerは2028年までに体験の3分の1がエージェント型に移ると予測し、McKinseyは2030年までにエージェント経由の商取引が3〜5兆ドルに達しうると見積もっています。地面はたしかに動いています。
そのうえでぼくの予想としては、調べもの・買い物・社会交流・ニュースといった「用事アプリ」は、聞けば答えてくれるAIの相手ひとりに吸い込まれて要らなくなっていくんじゃないかと思います。でも、レースゲームのように体験そのものが目的のもの——とくにみんなで同じものにハマる熱狂を持ったゲームは、会話に吸い込まれずに残る側だと考えています。即興で作れるようになっても、そのゲームにハマった仲間はまだいないからです。
作る側のぼくとしては、消える経済を追いかけるより、残る熱狂の側で、誰かに話したくなる体験を作っていきたいなと思います。あなたはどう思いますか。よかったらぼくの作ったゲームで遊んでみて、感想を聞かせてくださいね!
今回の数字の出典はこちらです。終焉に向かう「アプリ経済」、大半の創業者はまだ気づいていない(Forbes JAPAN)
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